2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530044
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長瀬 修 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特任准教授 (60345139)
|
Keywords | 条約 / 人権 / 障害者 |
Research Abstract |
本年度は、個別の条文の分析としては、日本にとって非常に大きな課題である第24条の教育について引き続き、取り組んだほか、第10条生命、第27条労働と雇用を主に取り上げた。 教育については、従来の強制的分離的教育から、障害者の権利条約が求める、インクルーシブ教育への転換と、やはり、ろう教育における従来の口話教育から、障害者の権利条約が求める、手話教育への転換に関する具体的な論点を提示した。日本の課題としては、政府仮訳(2007年9月)の問題点、学校教育法施行令と学校保健法の修正や、障害者差別禁止法など、立法・法律改正の必要性、文部科学省と障害者組織の協議の場の必要性、障害児教育分野での国際協力、手話を用いるろう教育の実現、特別支援学校の寄宿舎の問題、障害児の意思表明権がある。 生命については、障害者の権利条約の交渉過程での「生命の権利」に関する議論を各特別委員会毎に詳細に分析したほか、現在の日本の障害者の生命に関する課題を分析した。具体的には、障害者差別禁止法の文脈での、障害者の生まれる権利と女性の権利、改正臓器移植法、産科保障医療制度、安楽死法制化などである。 労働については、もとから就労への圧力の強い日本社会での、障害者雇用の厳しい現実、障害者の権利条約に基づく国際的責任(批准後)、差別としての合理的配慮の欠如、労働の権利への配慮、非障害者との連帯、大学での障害者雇用の成果などについて検討を加えた。
|