2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530047
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒神 直純 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (80294396)
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Keywords | 国際法 / 国際機構 / 国連 / 国際公務員 / 国際行政 |
Research Abstract |
今年度は、当初の計画通り、第1段階として、国連創設からアナン事務総長時代までの事務局の動きに関する調査研究を行った。前半は、ニューヨークに滞在する機会に恵まれ、コロンビア大学ロースクールで研究活動を行った。また、ときどき、国連総会の第5および第6委員会の会議にも出席・傍聴し、昨今の事務局改革および行政裁判所改革の動向も併せてフォローした。具体的な研究内容としては、国連の創設からアナン事務総長時代の間に、国連の人事行政および身分保障制度がいかに実施されてきたかを、まず前提的考察として検討し、とりわけ、1950年に行政裁判所が設置されたことが最も大きな出来事であったことに着目した。もっとも、職員の身分保障を行うために、司法的機関が設けられたことは、国際公務員法の発展'にとっても画期的なことであったが、設立当初から、この裁判所は、東西対立に翻弄されたのも事実である。そこで、その手がかりとなる、1954年7月13日の国際司法裁判所の「国際連合行政裁判所の補償裁定」に関する勧告的意見をはじめ、この意見後の総会の動きから1990年代に始まった事務局における司法運営制度全体の検討に関わる議論、歴代事務総長による事務局改革提案、とりわけ、ブートロス・ガリおよびアナンによる司法制度改革の抜本的改革の提案を包括的に検討した。なかでも最近の行政裁判所改革において、紛争裁判所および上訴裁判所からなる2審制裁判制度が導入されたことに着目し、その意義と問題点を検討した。この研究の成果は、岡山大学法学部60周年記念論文集(有斐閣、近刊)に寄稿し、現在校正中である。また、本研究の成果を利用して、国連組織および行財政の包括的な研究の成果として、家・桐山・小畑編『国際機構〔第4版〕』(世界思想社、2009年)の1章分を担当執筆し、公表した甑
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