2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530047
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒神 直純 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (80294396)
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Keywords | 国際法 / 国際機構 / 国連 / 国際公務員 / 国際行政 |
Research Abstract |
アナン事務総長の着任以来、2005年には、専門家による「国連の司法運営制度に関する再検討パネル報告書」が提出され、職員の身分保障制度についての抜本的な改革提案がなされた。これにより、非公式な紛争解決手続であるオンブズマン事務所による調停手続の拡充および行政裁判制度の2審制への変更が大きな変更点となった。新制度は、2009年1月以来実施されている。 今年度においては、行政的な紛争解決手段(国連文書上の"informal system")と、2審制となる司法的な紛争解決手段("formal system")が、いかなる議論を経て改編されたのか、また、その背景に、国連人事および行財政上のいかなる駆け引きがあったのかなどの諸点について、新制度の成り立ちから制度枠組み全般について、事務局全体の流れを踏まえた上で包括的に考察することを主眼とした。ここでは、国連文書その他Official Document System (ODS)のような国連関係データベースでの資料収集、外務省、各国の国連代表部職員および国連職員ならびに国際法・国連研究者との意見交換を行った。また、これに加え、国連事務局のこれまでの人事行政および身分保障制度の歴史的流れと、近年(アナン事務総長着任以降)の内部組織上の人的資源管理(Human Resource Management)改革と非公式制度や公式制度を含めた新たな身分保障制度の動きを中心に研究を行った。この研究成果については、岡山大学法学部内で6月23日に実施された研究フォーラムにおいて報告した。 最後に、国連創設以来、事務局および事務総長の機能がいかに変容したかを包括的に考察する必要性を感じ、上に行った研究と並行して、国連事務局の機能変化について研究した。その研究成果については、世界法学会(5月9日)および京都大学の国際法研究会において報告した。
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