2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530050
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
兼原 敦子 上智大学, 法学部, 教授 (60214483)
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Keywords | 国際法 / 海洋法 / 国連海洋法条約 / 海洋境界画定 / 北極海 / 調査捕鯨 / 捕鯨取締条約 / 国際司法裁判所 |
Research Abstract |
日本が抱える海洋法上の紛争や問題は、近隣アジア諸国との境界画定問題や、それをめぐる処理だけには限られなくなってきている。たとえば、地球温暖化の影響で北極海航路が現実に通航可能な航路として機能を持ち始めるとすれば、欧州と日本との間の航路は北極海を通ることにより距離が大幅に縮減される。つまり、日本は北極海航路について、大きな利害関係をもつ国である。北極海については、資源・エネルギー、航行、安全保障などの問題があるが、さしあたり日本が最も大きな利害関心を持つのは航行についてである。国連海洋法条約は、北極海についての固有の規定は1条文をもつのみである。そこで、仮に、北極海の氷が融解して、北極海航行が現実のものになったときに、航行国と、北極海沿岸国との間でどのような利害対立があるかを、国連海洋法条約の1条文と、それが以外の航行に関する条文や制度に照らして研究した。私的な研究会においては、検討結果を報告をし、議論も行った。また、日本は、南太平洋における調査捕鯨について、オーストラリアから国際司法裁判所へ訴えられている。調査捕鯨が、国際法上で、とくに、捕鯨取締条約上で違法であるという主張がなされている。これに対して、日本がいかなる議論をなしうるか、調査捕鯨が関連する国際法に照らして、合法であるという主張はどのようになしうるかを、文献にあたって研究した。これについても、私的な会合において報告をし、議論を行った。
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