2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際カルテルに対する民事的救済-国際私法・独禁法上の諸問題の包括的研究-
Project/Area Number |
21530056
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長田 真里 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (10314436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 邦宣 大阪大学, 高等司法研究科, 准教授 (00305674)
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Keywords | カルテル / 独占禁止法 / 国際私法 |
Research Abstract |
従来、国際カルテルの問題は、もっぱら競争法執行官庁による外国事業者に対する規制という、「公法的な」域外適用の問題として論じられてきた。これに対して、本研究は、国際カルテルに対する民事救済のあり方という、いわば「私法的な」域外適用の問題を、国際私法を専門とする研究者と経済法を専門とする研究者が共同で研究するものであった。 本研究の目的として、主に以下の2点をあげていた。すなわち、(1)国際カルテルにかかる、米国及びEUにおける民事的救済の包括的研究(外国法研究)、(2)(1)の研究を基礎として、我が国独占禁止法による国際カルテルの被害者救済のあり方について、法制度及び法解釈にかかる具体的な提言をなすことである。 本年度は最終年度にあたるため、これまでのEC法・EU加盟国法および米国法にかかる研究成果を基礎として、国際カルテル違反行為にかかる民事的救済制度の法原理・法制度・法運用状況を比較検討し、それを基に、【日本企業加害者型】に対する妥当な解釈を提言することを具体的な目標としていた。しかるに、いくつかの理由から、妥当な解釈を提言するまでに至ることができなかった。第1に、EUで進められていた国際カルテルにかかる民事的救済制度構築のための立法プロセスが、様々な政策的な理由により頓挫してしまったこと、第2に、アメリカにおける判例の数が予想よりも遙かに多く、その分析に当初の予想よりも多くの時間がかかってしまっていることの2点が主な理由である。 しかし、本研究は日本や韓国でも本格的な公法的域外適用が始まり、また、消費者の権利の集団的救済の必要性が叫ばれる中で、急務の課題であり、補助金の交付終了後も引き続き検討を続けていき、数年うちにまとまった形での成果公表をしたいと考えている。
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Research Products
(8 results)