2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会保障法通則の視点からの法定権利擁護機関の機能・権限・役割の検証と再構築
Project/Area Number |
21530057
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西田 和弘 岡山大学, 大学院・法務研究科, 教授 (70284859)
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Keywords | 権利擁護機関 / 社会保障法通則 / 虐待防止 / 成年後見 / 市民後見人 / 社会福祉協議会 / 福祉サービス / オーストラリア |
Research Abstract |
本研究は、福祉サービス関運の法定権利擁護機関が機能・権限・役割に関連して抱える課題につき、実態調査を踏まえ法的視座から検討することにより、社会保障法における権利擁護通則を構想し、さらに通則の視点に基づき法定権利擁護の再構築の方向性を検討することを目的とするものである。 本研究は3年の研究期間で本研究課題を遂行するため、法定権利擁護機関を次の三つの柱で検証している。成年後見と日常生活自立支援事業の移行(リエゾン)、虐待防止、苦情解決である。これは各年度における主たる研究対象分野でもある。 2年目にあたる平成22年度は主に虐待防止に関する研究に取り組んだ。地域包括支援センターやNPO法人など、虐待防止に取り組む組織の調査を行い、特に、地域包括支援センターに関しては、「障害者虐待防止法構想」をにらんで、高齢者の虐待防止施策や早期発見・見守りネットワークなどの虐待防止ネットワークの再構築を踏まえた検討と、設置形態の相違からくる問題および地域間格差の把握に力点を置いた。惜しむらくは、児童虐待の調査が不十分であったことであるが、平成23年度に追加的調査を予定している。あわせて、平成21年度において得られた成年後見に関する知見をさらに深化させるべく、自らシンポジウムを主催し、成年後見制度の社会的受け皿に関する実務と理論の架橋を図る作業を行った。 また、平成22年度は社会保障法通則の理論的研究の材料として、また、市民に身近な権利擁護・救済手法の検討のため、オーストラリア国で調査を行った。その際、メルボルン大学のスティール上級講師およびスティーブンス准教授から有益な示唆を得た。 平成22年度は本研究の成果に関する著作を4本刊行したほか、社会法研究会(九州)に積極的に参加し、適宜研究報告を行うとともに、最新の研究動向についての情報収集・他の研究者との意見交換を積極的に実施した。
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Research Products
(4 results)