2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530058
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吾郷 眞一 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (50114202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
韓 相煕 九州大学, 大学院・法学研究院, 准教授 (30380653)
山下 昇 九州大学, 大学院・法学研究院, 准教授 (60352118)
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Keywords | ILO / 国際労働基準 / 準司法機能 / 労働組合 / 三者構成 / 国際法の実施 |
Research Abstract |
ILO監視機構、とりわけ条約勧告適用専門家委員会による意見および直接請求をいわば「判例」として検証していく過程で、その判例性を裏付ける仕組み自体への信頼性が重要であることは、あらかじめある程度分かっていることではあったが、判例研究を進める過程で、また現地調査を含めての監視システムの現況を確認する作業の中で、ますますその重要性が高まってきた。 12月に行ったジュネーブ本部における聞き取り調査において、従来型の監視システムにある程度の変容が生じていることが確認された。それ自体としては研究全体の方向性を変えていくほどのものではないが、せまい意味での「判例分析」だけでは全体像がつかめないことが分かった。したがって、これまでに行ってきた個別条約に係る監視機構の判断の変遷(それ自体にも意味があり、特に強制労働条約の解釈領域が格段に広げられている部分と、逆に狭まってきている部分があることが明らかになっただけでなく、報告手続上の細かい規則改定も不断になされていることも確認できた)だけにとどまらず、国際人権法の実施というもっと広い枠組みの中にILOの監視システムを位置づけ、さらには2010年11月発行のISO26000のような新種の国際基準のようなものが登場したことによる、ILO監視機構の相対化も含めて、本研究の最終的目的を達成すべく判断枠組みを調整しながら展開していくことの必要性が明らかになった。その際にはたとえば国際法学会、世界法学会(2010年アジア国際法学会研究大会(東京2010年11月)や他の研究資金を利用して参加した学会等(たとえば2011年2月のカリフォルニア大学サンタバーバラ校主催の国際会議)において得られたコンストラクティヴィスムの手法による分析視角が有用であることが確認された。
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