2009 Fiscal Year Annual Research Report
進化した景品-マイレージサービス規制に関する競争法的研究
Project/Area Number |
21530059
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岩本 諭 Saga University, 経済学部, 教授 (00284604)
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Keywords | 社会法学 / 経済法 / 独占禁止法 / 不当景品表示法 / 不正競争防止法 / 景品・懸賞付販売 / マイレージサービス / ポイント |
Research Abstract |
本年度は、マイレージサービス(MS)及びボーナスポイント制(以下MS等)の法的・経済的な性格を把握するとともに、法規制制度の位置付けに関する基礎的研究を実施した。 米国航空業界に発祥起源を持つMSは、現在の日本では、当初の経済的価値としての(1)割引機能はもとより、(2)景品機能、(3)電子マネー(現金化)機能、(4)他商品との交換機能、(5)特典(優先搭乗等)機能といった多面的な付加価値を有するサービスとして発展してきている。こうした多面的な付加価値性は、MSに限らず、製造販売業、流通業(とりわけ小売業)において、商品・サービス購入に際して顧客に提供されるポイントについても、(1)~(2)の全部または一部の特徴が見られる。 こうした特徴を有するMS等は、それを企画・実施する事業者にとっては、企画や特典の内容充実によって他社に優位して顧客を獲得する競争・取引促進手段としての意味を有する一方で、(1)~(5)の機能により顧客を誘引するとともに、自社製品・サービスに顧客をロック・インする顧客囲い込み手段としての性格を併せ持つといえる。競争法的観点から見た場合、後者の顧客の囲い込みにつながるロック・イン効果については、自由競争の確保と公正競争の確保の2つの法益から分析・評価することができる。この分析・評価は、日本の場合、経済法的アプローチ(独占禁止法)、消費者法的アプローチ(不当景品表示法)、及び民事法的(刑事法的側面も含む)アプローチ(不正競争防止法)のそれぞれの法目的に沿ってなされる必要があるが、日本に先行して規制事例・判例の蓄積があるEC法(EC指令)及びドイツ法(GWB、UWG)の法制度との比較研究が重要な意味を持つことが明らかとなった。なお、本年度の研究期間中、複数の研究論文において、また学会シンポジウム等において、また自治体の公開講座において、MS等に関する消費者法上の知見について公表・報告する機会があったことを付記しておきたい。
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