2010 Fiscal Year Annual Research Report
進化した景品-マイレージサービス規制に関する競争法的研究
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21530059
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岩本 諭 佐賀大学, 経済学部, 教授 (00284604)
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Keywords | 経済法 / 独占禁止法 / 不当景品表示法 / 不正競争防止法 / 景品・懸賞付販売 / マイレージサービス / ポイントサービス / 競争法 |
Research Abstract |
本年度は、前年度の研究内容(マイレージサービス等で提供されるポイントの法的性格およびポイントサービスに対する法的規制のアプローチの考察)を踏まえて、前年度の考察をさらに進展させること、及びポイントサービスをめぐる今日的状況を把握することを研究の主目的とした。考察め手がかりとして、EU・ドイツの学説及び判例を調査するとともに、市場実態を把握するため企業調査を実施することを計画として掲げた。 まずポイント自体の法的性格については、景品、または値引き(割引)と捉える見方が中心的であり、特にドイツとEUの判例と学説ではポイント(Bonusmeilen)=景品(Zugabe)とする見方を出発点とした法理論と規制実務が蓄積している。もっとも、通貨とりわけ電子マネーとしての側面、他の商品・サービスとの交換機能、プレミアム機能といった側面は、顧客誘引・囲い込み手段として有用であることの指摘もなされているが、それ自体競争法上ただちに違法とする根拠を欠くとする見方も支配的であった。 規制アプローチの一つは対消費者利益の確保の視点に基づくもめであり、日本では不当景品表示法であるが、ドイツとEUでは不正競争防止法が中心法となっている。上記のポイントの法的性格についての理論は主にこの視点からのものである。 もう一つの規制アプローチは、対市場効果(自由競争の確保)の視点に基づくものであり、この視点ではポイント自体ではなく「ポイントサービスによる競争」への着眼が重要である。特に、ポイント共通サービスの展開(例:T-point)が、提供されるポイント(ブランド)毎に企業グループを形成している点、またグループ間の競争が活発化している実態が日本のみならずEU諸国にも見られることが明らかとなった。
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