2011 Fiscal Year Annual Research Report
進化した景品-マイレージサービス規制に関する競争法的研究
Project/Area Number |
21530059
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
岩本 諭 佐賀大学, 経済学部, 教授 (00284604)
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Keywords | 競争法 / 独占禁止法 / 不正競争防止法 / 消費者法 / 不当景品表示法 / ポイントサービス / 景品 / 抱き合わせ |
Research Abstract |
本年度(最終年度)は、(1)「自由競争の確保」と(2)「公正競争の確保」の観点から検討を行ってきた。 (1)について、ドイツ競争制限防止法(GWB)における事例を見ると、基本的には、抱き合わせ取引(Koppulungsangebot)に対する規制の考え方、すなわち「市場支配的地位の濫用」(GWB19条、20条)の下での違法判断の枠組に依拠していると思われるが、これまで、ポイント提供型顧客誘引に対する連邦カルテル庁による規制事例はなく、私訴事例が散見される。いずれの事例においても、ポイントサービスと本体商品・サービスの抱き合わせ取引が市場支配的地位の濫用に当たるかどうかが問題となったが、濫用が認定された判決はなかった。いくつかの事例では、本体商品・サービスとポイントサービスとの関係、すなわち後者のポイントサービス提供の「市場画定」が争点となったが、判決は「需要者観点に基づく市場画定」が必要であると判示している点が注目される。 (2)について、ドイツ不正競争防止法(UWG)に係る複数の判例において、ポイント=景品、ポイントサービス=景品提供を出発点とし、現行法制度上、抱き合わせ取引の問題として整理されている。本体商品の購入をポイントサービス応募の条件とする顧客誘引の違法性が問われた「Millionen-Chancen」事件では、EU司法裁判所の先決において、EU不公正取引慣行指令の「不公正」該当性の厳格な立証が求められた結果、ドイツ連邦最高裁はUWGの「不公正」性を否定した(2011年)。これにより、ドイツにおけるクローズド景品・懸賞の解禁に向けた議論が活発化している状況が確認された。 .ドイツ・EUの議論を敷衍すると、日本では不当景品表示法が関係法となるが、また独占禁止法(一般指定9項、8項)も関係する。不当景表法は平成21年改正により法目的・違法判断基準が改正されており、したがって独禁法の特例法としての関係性が消滅したことから、それぞれ適用可能性を有すると思われる。
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Research Products
(5 results)