2011 Fiscal Year Annual Research Report
看護職の勤務シフトの法的分析と提言-看護法学確立のための基礎的研究
Project/Area Number |
21530061
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Research Institution | The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing |
Principal Investigator |
大橋 将 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (10403932)
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Keywords | 看護労働 / 勤務シフト / 交代制 / 過重労働 / 看護法学 |
Research Abstract |
平成22年度は、実態調査のための質問項目の確定を行った上で、全国の主要な病院の看護部長に直接アポイントメントを取り、インタビューを行った。 それを踏まえ、平成23年度は、実態調査の整理と分析に取り組んだ。インタビューで調査不足の点は、再度当該に質問をするなど、実態調査の補充にも注力した。手始めに、若年看護師が過労死した「国立循環器病センター事件」大阪高裁判決、深夜労働の労働条件変更をめぐって争われた「井之頭病院事件」、看護師の定着に多大の影響をもたらす育児休業の権利性が争われた「みなと医療生活協同組合(協立総合病院)事件」をメインに、裁判例に現れた看護労働の問題点を別出するとともに、実態調査の一端を織り込んだ中間報告「看護労働における労働時間制の法的課題-看護労働に関する裁判例を中心に」を、季刊労働法に掲載した。その後の調査分析の結果、様々な問題点の内、次の四つが当面の課題であることが判明した。(1)深夜勤務の健康・生活・精神に与える悪影響が想像以上に強い。現在各病院において、2交代制への移行が進んでいるが、なによりも12時間以上の継続勤務を防止することが第一の課題である。労基法において看護労働が全く考慮されていないが、ILO149号条約の批准と,労基法における連続労働時間制限の規定の立法化が必要である。(2)看護師の定着率を高めるため、育児支援制度の拡充が必要である。具体的には、院内保育の充実や育児短時間勤務の拡充を図る必要がある。なお、過渡的には、夜勤専従職員の労働条件の改善を図りながらも、拡充が必要である。(3)現場で働く看護師とともに、管理職層の意識改善が必要である。労働関係法規に関する研修を強化するとともに、自らの辿ってきた途を反芻しながら、よりよい労働条件の方向性を模索する教育体制の整備が望まれる。(4)すでに、看護協会の方針にも見られるが、なにより看護界自らが、他の医療職者を交えた労働時間短縮に取り組むことである。
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Research Products
(1 results)