2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21530065
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
小島 透 愛知大学, 法学部, 教授 (80293679)
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Keywords | 刑事法 / 量刑 / 刑罰 / 裁判員 |
Research Abstract |
本研究は、裁判員制度の導入が量刑に与える影響について、1.科刑状況の変化の分析、および、2.量刑基準の理論的検討、の二つのアプローチから検討をすすめるものである。このような計画にしたがい、平成23年度においては以下の活動を行った。 1.科刑状況の変化の分析について 科刑状況に関する最新の統計データ(平成22年のデータ)を平成23年公表の司法統計年報から、また、司法統計年報のデータの精度を補うため(司法統計年報は、平成11年以降、それまでよりも精度が粗くなった)の検察統計年報における罪名別起訴人員の統計データ(平成22年のデータ)を平成23年公表の検察統計年報から、それぞれ抽出・入力して、前年度までに入力したデータとあわせて、本研究で用いるためのデータベースを最新のものにした。そのうえで、殺人罪等の裁判員裁判対象犯罪を中心に、平成11年から平成22年までの科刑状況の変化を分析し、裁判員制度の運用等に関する有識者懇談会における資料と併せて、裁判員裁判による量刑への影響を検討した。 2.量刑基準の理論的検討について 裁判員制度あるいは量刑基準に関する文献・資料を収集し、とくに裁判員裁判における量刑相場・量刑傾向に関する論文を中心に、議論を整理した。 3.研究成果の公表 上記「1」の成果をもとに、平成23年8月に開催された第16回国際犯罪学会のテーマセッションにおいて、わが国の量刑傾向について報告を行った。また、「1」および「2」の成果をもとに、平成23年11月に開催された名古屋刑事実務研究会(名古屋地区の裁判官、検察官、弁護士および研究者によって構成)において、裁判員裁判における量刑の変化と量刑相場・量刑傾向のあり方について、報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集や文献・資料収集は予定通り進んでおり、最終的な分析(本年度実施の予定)に向けて準備は整いつつある。中間報告については、論文等の形でこれらを公刊することはできなかったものの、学会等において適宜報告を行ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
裁判員裁判導入による量刑への影響は、本年度で終わるものではなく、来年度以降も引き続き注視すべきものではあるが、本研究課題が本年度で最終年度を迎えることから、とりあえず本年度を一区切りとして、現在までの裁判員裁判対象事件における科刑状況の変化の有無およびその程度を分析し、裁判員制度導入によって議論されてきた量刑理論との突き合わせを行い、その成果を、学会・研究会での報告、紀要における論文等により公表する。
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Research Products
(3 results)