2009 Fiscal Year Annual Research Report
刑事訴訟における被害者参加制度の実証的研究～改正法の「3年後見直し」に向けて～
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21530067
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| Research Institution | Kagoshima University |
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Principal Investigator |
中島 宏 Kagoshima University, 司法政策研究科, 准教授 (00318685)
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| Keywords | 刑事訴訟法学 / 被害者参加 / 裁判員 |
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| Research Abstract |
1.被害者参加にかかる事例調査の準備作業
本研究は、刑事訴訟における被害者参加等によって生じる問題を実証的に明らかにするものであるため、弁護人および被害者参加弁護士へのインタビュー調査等を予定している。平成21年度は、予備調査として、被害者参加および刑訴法292条の2による意見陳述が実施された事件の公判を傍聴し、弁護人からの聞き取りを行った(東京、大阪、鹿児島)。また、参加や意見陳述ではないが、被害者の利益と被告人の防御とが相剋する場面として、もっぱら被害者供述の信用性が争点となった否認事件における防御活動の実際についても、聞き取りや記録の閲覧を行った。これらを通じて、(1)被害者参加人の意見陳述がもたらす法廷の(防御側からみた)圧迫感、(2)被害者参加人の心情に配慮する必要から生じかねない萎縮効果、(3)被害者参加にかかる訴訟指揮の巧拙とその影響、(4)被害者参加人との交渉のあり方、(5)被害者が寛刑を望む場合の防御活動など、今後の本調査において掘り下げるべき事項が明らかになった。
2.平成19年改正刑事訴訟法の立法過程の研究
同時に、平成19年における刑事訴訟法改正の立法過程について、法制審議会の議事録などの分析を行い、この改正を支えた理論的及び政策的な背景について考察を加えた。訴訟構造における被害者の主体的な地位の位置づけはなされず、むしろ依然として被害者の心情に配慮した「福祉」的なニーズの実現にとどまっていることが明らかになりつつあるが、この部分については、さらに研究を継続したうえで、平成22年度前半期に鹿児島大学法学論集誌上で成果を公開する予定である。
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