2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530068
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
沢登 文治 南山大学, 法学部, 教授 (40247672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 悦典 南山大学, 法学部, 教授 (60301074)
末道 康之 南山大学, 法務研究科, 教授 (60276003)
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Keywords | 刑事収容施設 / 犯罪者更生 / 刑事施設視察委員会 / 刑事施設第三者機関 / 刑務所オンブズマン / 受刑者社会復帰 / 刑務所民営化 / 刑務所改革 |
Research Abstract |
研究代表者(沢登)は、カナダ「矯正捜査局(OCI)」を再訪し、日本の受刑者処遇の課題および視察委員会の活動などについて、プレゼンテーション・質疑応答を実施した。カナダでは世界的な基準としての「拷問禁止条約」「被収容者最低規則」等諸条約・諸文書を基礎として、刑務所処遇のあり方を判断・調査しており、基準に合致しない場合には、年次報告書によってその事実を議会に明らかにするともに、受刑者の救済を図り、処遇体制の見直しを勧告することを使命としていることを、この年度の論説で明らかにした。また同局の独立性確保も、世界標準であるとの認識から、法令上もそのような規定となっている。 フランス訪問では、エクス・マルセイユ第3大学ISPEC(刑事学・刑事政策研究所)を訪問することで、フランスにおける刑務所監視体制の変動について、近時の具体的態勢について、ジアコッペリ所長から教示を受けた。これを基礎に、さらに、詳細について研究を継続して行きたい。 研究分担者(岡田)は、那覇の「がじゅまる更生保護施設」を訪問し、刑務所を出所した元受刑者が社会復帰をする前の段階として、どのような社会的な支援体制が存在するか、同施設長・副長から意見を聴取するとともに、施設参観を実施した。結果、近隣との様々な調整が最も重要であり、それが上手くいかない場合には、施設の存立基盤が崩れることになりかねず、受刑者社会復帰には施設と近隣の良好な関係が重要であるとの見識を得た。これに関する論説の公表によって、今後のわが国の刑事政策学に新たな視点を加えることができる。 研究分担者(末道)は、フランスにおける刑事施策およびEU刑事法の改正について、文献の調査と研究を実施し、著書および論説の執筆を行い、刊行するに至った。これら業績により、近時の改正に関して、わが国の研究を前進させた。
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