2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパにおける民法改正作業とその日本民法への影響
Project/Area Number |
21530074
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
半田 吉信 千葉大学, 大学院・専門法務研究科, 教授 (10009730)
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Keywords | 民法 / ドイツ法 / ヨーロッパ法 / ハーグ子ども連れ去り条約 |
Research Abstract |
現在日本で進められている民法(債権法)改正作業は、債権法の全般(事務管理、不当利得、不法行為を除く)だけでなく、民法総則の意思表示、代理、時効にもまたがる、大規模かつ抜本的なものであり、欧米などの諸国でも民法の改正作業が進められて、それらの動きが日本にも影響を及ぼしているため、外国法制を含めた比較研究が重要性を増している。初年度は、それまでの研究成果を踏まえて、「ドイツ新債務法と民法改正」を上梓し、ドイツ新債務法施行後7年経った段階でのドイツの判例、学説の議論の展開をドイツの文献に依拠して後付け、併せて、公表されたばかりの日本の新債務法案(2009年の民法(債権法)改正提案)で提示された新ルールとの比較、検討を行った。それによって明らかになったのは、日本の債権法のアメリカ契約法への接近という特徴である。2年目は、新しく提案されているサービス契約法や瑕疵担保法に関する論文を発表する他、家族法、ハーグ子ども連れ去り条約、意思表示論などに関する資料の収集と文献執筆の準備作業を行った。そして3年目は、錯誤法および原始的不能論に関する日独比較研究をドイツのヴィンデル教授(ルール大学)との間で行い、研究成果を公表するとともに、ドイツのルール大学で日本の民法(債権法)改正作業の経緯とその内容について講演する機会を得た。またハーグ子ども連れ去り条約、意思表示論と民法改正という二つの文献の執筆まであとわずかというところまで研究を進めた。同時に2009年日本の民法(債権法)改正提案のドイツ語訳をヴィンデル教授とともに進めた。
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