2009 Fiscal Year Annual Research Report
現行知的財産法制度下における地域ブランドの確立と課題
Project/Area Number |
21530077
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡辺 森児 Shinshu University, 法曹法務研究科, 准教授 (30327126)
|
Keywords | 地域ブランド / 知的所有権 / 商標法 |
Research Abstract |
近年、地域における事業者が一体となって、当該地域の資産価値を高める活動の1つとして、「地域ブランド」の確立・活用が活発化している。このような動きは、当該地域を他の地域と区別化するだけでなく、一度ブランドに対する信用が高まれば、地域経済全体が活性化する原動力となる可能性も秘めている。こうした状況の下、平成17年商標法改正によって新設された地域団体商標制度は、地域経済における町おこし・村おこしを法律の面から支える待望の制度であるといえる。 しかしながら、現行の地域団体商標制度は、権利として商標を保護するにとどまり、実際の地域社会の要請に十分応えていないように見受けられる。その代表的なポイントを挙げると、以下のとおりである。第一に、現在の地域団体商標制度は、必ずしも地域の事業者全体に開かれたものとはいえない。第二に、商標法は「ブランド」の品質維持についての配慮が十分でない。このような視点から、現行商標法の制度目的を再検討し、解釈論上もしくは法運用上の問題点を整理・分析し、有効な示唆を提示する。 3年計画の1年目は、平成17年商標法改正に際して、立法段階でいかなる検討がなされたのかを調査し、その上で、従来の法制度と比較して、制度の特徴を明らかにした。 他方で、「地域ブランド」という語義の多様化をふまえ、立法当時における地域ブランドに対する考え方に対する、現在における地域ブランドの考え方の変容と、法的観点からの解釈論、立法論、あるいは運用論のいずれによる解決が相応しいかを分析した。
|