2010 Fiscal Year Annual Research Report
現行知的財産法制度下における地域ブランドの確立と課題
Project/Area Number |
21530077
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡辺 森児 信州大学, 法曹法務研究科, 准教授 (30327126)
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Keywords | 地域ブランド / 知的所有権 / 商標法 |
Research Abstract |
平成17年商標法改正により新設された地域団体商標制度が施行され4年が経過し、今日まで、当該制度により申請・登録を行った例が確実に増加している。このことは、近年、地域における事業者が一体となって、当該地域の資産価値を高める活動の1つとしての「地域ブランド」の確立の動きと法制度とがようやく符合してきた証左である。しかし、実際に申請までに要する時間や労力、または登録まで至った団体商標のはたらきを調査すると、法律の定めた要件や効果について未だ解決されない問題が存在することが分かった。 その代表的なポイントを挙げると、以下のとおりである。第一に、現在の地域団体商標制度は、必ずしも地域の事業者全体に開かれたものとはいえない。第二に、商標法は「ブランド」の品質維持についての配慮が十分でない。3年計画の2年目は、このような視点から、実際に当該制度を利用した実例と照らし合わせながら、現行商標法の制度目的を再検討し、解釈論上もしくは法運用上の問題点を整理・分析した。さらに、諸外国における地理的表示の法制を調査し、日本の法的対応との比較を行った。 平成22年度内においては、上記の検討をふまえ、日本の地域団体商標制度の法的問題点について、中間報告の段階として、論稿に纏め公表した。その中では、「地域ブランド」という語義の多様化をふまえ、立法当時における地域ブランドに対する考え方に対する、現在における地域ブランドの考え方の変容と、法的観点からの解釈論、立法論を分析した。
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