2011 Fiscal Year Annual Research Report
企業結合関係にある会社間の利害調整と取締役の行為規制
Project/Area Number |
21530083
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 雅史 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (90204916)
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Keywords | 会社法学 / 取締役 / 企業結合 / 少数株主保護 |
Research Abstract |
平成23年度は、交付申請書に記載した研究の最終実施年度ということで、これまでに行ったドイツ、アメリカ、イギリス、フランスとの比較研究をもとに、日本法における企業結合運営段階における、支配従属会社の株主の利害調整と取締役の行為規範に関するまとめを行った。親会社株主の保護は、株主権の縮減問題として、多重代表訴訟や子会社の基礎的変更に対する親会社株主の関与に関する課題を検討した。子会社少数株主保護としては、親子会社間の利益相反取引における親会社または親会社取締役の義務と責任を中心に検討した。そして、平成23年12月7日に、法制審議会会社法制部会が「会社法制の見直しに関する中間試案」を公表し、「親子会社に関する規律」に関する改正法の方向性が明らかになったことを受け、親会社株主、子会社少数株主の保護に関するこれまでの研究成果の再検討を行った。また、平成23年度は、企業結合形成過程における従属会社少数株主の保護のための制度である株式買取請求権の価格決定事件に関する重要な最高裁判所の決定が相次いで出された(楽天対TBS事件に関する最決平成23年4月19日、インテリジェンス事件に関する最決平成23年4月26日)ので、本研究の一環として、株式買取請求において採用されるべき公正な価格の算定基準時に関する論文を執筆した。このほか、子会社情報に関する親会社株主のアクセスを確保するための帳簿閲覧権制度に関する最近の最高裁判所の判例(最決平成21年1月15日)を研究する論稿を執筆した。
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