2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530084
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 雅弘 Kyoto University, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (50240817)
|
Keywords | 定款自治 / 全株式譲渡制限会社 / 機関設計 / 株主間契約 |
Research Abstract |
平成17年制定の会社法は、全株式譲渡制限会社と公開会社とで、相当に異なった規律を採用しており、その違いの多くは、全株式譲渡制限会社について、公開会社には認められない定款自治を認めるという点に存する。そこで本研究は、大きくは全株式譲渡制限会社と公開会社とに区分をして検討を進め、本年度は、まず全株式譲渡制限会社を対象とし、特にその機関関係における定款自治のあり方について検討した。 会社法は、機関設計について、とくに全株式譲渡制限会社に大幅な選択の自由を認め、取締役会を置かなくてよいなど、会社法制定前の有限会社と基本的には同様の機関の設置を選択できることとした。会社法が機関設計についてこのように大幅な定款自治を認めた根拠は、株式全部に譲渡制限があれば、株主間に緊密性を確保することができ、真の合意により株主間契約を締結することが不可能でない関係が株主間に存在し、基本的に契約自由の実質が妥当することにあると理解することができる。このような規制根拠に照らし、機関ごとに設計の柔軟性に関する現行法の規律を検討してみると、それぞれ理論的には正当な理由のあることが明らかとなった。もっとも、譲渡制限はあっても多数の株主が存在する会社などで、大幅な定款自治を認める根拠が真に存在するかという問題等、なおいくつかの検討課題のあることも明らかとなった。 機関設計以外にも、機関関係では、取締役会設置会社において定款による株主総会の権限の拡大は無制限に認められるか、株主総会決議の効力発生を第三者の承認にかからせる旨を定款で定めることはできるか、譲渡制限株式の譲渡の承認機関を定款でまったくの第三者とすることができるか等の問題は、なお解釈問題として残されているところ、これらの問題についても解釈の方向性につき視座を得ることができた。
|
Research Products
(6 results)