2011 Fiscal Year Annual Research Report
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21530091
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高橋 英治 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40275235)
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Keywords | 株主の誠実義務 / ヨーロッパ会社 / 株主平等原則 / 株式買取請求権 / 株主総会議決の取 / 親子会社 / 企業結合法 |
Research Abstract |
まず「ドイツにおける株主および会社の誠実義務の発展-誠実義務の時代依存性と普遍性」関俊彦先生古稀記念論文集『変革期の企業法』において、ドイツ法における株式会社における少数株主保護の一般条項である株主の誠実義務について、分析検討し、この概念を日本法も判例上導入し、株式会社における少数株主の保護を実現するべきことを提言した。次に、「親子会社法制の展開に向けて」永井和之=中島弘雅=南保勝美編『会社法学の省察』においては、親子会社における子会社の少数株主の保護について、現在行われている会社法改正の動きにも対応して、具体的立法提案を行った。「親会社の責任規制の在り方について」においては、子会社の少数派株主を抜本的に保護するために、グループ契約という制度を導入し、子会社の少数株主の十分な保護が実現されるべきであることを説いた。Harald Baum/Eiji Takahashi, Klagen gegen fehlerhafte Hauptversammlungsbeschlusse imjapanischen Aktienrechtにおいては、総会決議無効・取消訴訟の局面で、日本の会社法がどのような形で少数株主の保護を行っているか分析検討し、この領域におけるドイツの株式法改正の参考資料を提供した。Eiji Takahashi/Tatsuya Sakamoto, Japanese Corporate Law : Important Cases in 2010では、株式買取請求権に関する最高裁判決など、少数株主保護のために重要な機能を果たした裁判例を中心に解説し、世界に向けて発信した。新津和典専任講師との共著である「ヨーロッパ会社(SE)法制の現状と課題」においては、ヨーロッパ会社の少数株主保護の仕組みも分析検討した。「従業員株主を前列に座らせてなした総会決議に関する四国電力事件最高裁判決」では、最高裁判例を素材に、株主平等原則が、少数株主保護に果たしうる機能の限界を示し、これに代り。「会社の公平誠実義務」という概念を判例上、導入すべきことを説いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」に関する論文を毎年10本以上作成し、発表してきている。また、申請者の研究の中間決算ともいうべき「ドイツ会社法概説」を、本来の予定日である2012年9月より前である2012年3月に出版社有斐閣に提出し、順調に校正の作業を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年9月までに、「ドイツ会社法概説」を有斐閣より出版する。持分会社の少数社員の保護について論じた論文の執筆を進め、2012年度中に、発表する。ヨーロッパ会社法における少数株主の保護についての論文を作成する。株主とともに、企業の重要な利害関係者である労働者の保護についても、少数株主の保護と同じ権利を与えることができないか、検討を重ねる。その結果を踏まえて、「会社法と労働法の交錯領域」という本を上梓し、そこで総論を執筆し、本研究の前記の労働者保護への応用を論じたい。
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