2012 Fiscal Year Annual Research Report
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21530091
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高橋 英治 大阪市立大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40275235)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 企業結合法 / 一般条項 |
Research Abstract |
本年度は、まず第一に、「ドイツ会社法概説」という単著を有斐閣から上梓した。この単著は、日本における歴史最初のドイツ会社法の概説書であり、本文だけで499頁の大著であり、ドイツにおける少数派株主保護の一般的状況が概観されている。本書は既に日本語の書評二本発表された。平成15年度に本書の、英語の書評は一本、ドイツ語の書評が一本発表される。また、本書は、2012年11月3日 平成24年度大阪市立大学学友会「優秀テキスト賞」受賞した。また、過去の科学研究費での研究が世界的に評価され、2013年 Marquis Who's Who in the World, 30th Pearl Anniversary Editionに登録された。第二に、少数派株主保護の一般条項の研究としては、高橋英治=洪済植「韓国法上の業務執行指図人等の責任」法学雑誌58巻2号が発表され、韓国における従属会社少数派株主の一般条項である事実上の取締役の責任について、詳論した。第三に、ドイツにおける少数派株主保護の一般条項としては、高橋英治「ドイツにおける『事実上の取締役』の発展と日本法への示唆」法学雑誌59巻2号を発表した。第四に、高橋英治「持分会社と企業結合法制」という『商事法務』に発表した論文は、従来取り扱われていなかった従属的持分会社の少数派社員の保護の問題を取り上げ、分析検討した。第五に、高橋英治「日本とドイツの会社法の『継受』と『収斂』」という『商事法務』に発表された論文は、少数派株主保護の問題を中心に、日本とドイツの会社法の新しい関係がいかにあるべきか明らかにした。第六に、高橋英治「企業結合法制の歴史と課題」沖縄法政研究14号は、ドイツの従属会社の少数派株主の保護の問題点を分析検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでは、国際的にも、国内的にも、研究にかかわる多数の論文、著作、シンポジウムでの報告を行ってきており、達成度は90パーセントに至っていると評価している。多数の賞の受賞や世界人名録への登録が、研究の国内および世界からの評価を物語っている。また、日本で最初のドイツ法の概説書を日本の著名な出版社から出版できたことにも申請者は満足している。またEiji Takahashi/Kazunori Shintsu,は共著で、ドイツ語の日本の従属会社における少数派株主保護の立法上の議論状況を紹介できたことにも満足している。また。Eiji Takahashi, Zur Reform der geschlossenen Kapitalgesellschaften in Japan: die Aufhebung des GmbH-Gesetzes und ihre Auswirkung, in: Moritz Bälz/Harald Baum/Jörn Westhoff (Hrsg.), Aktuelle Fragen des geberblichen Rechtsschutzes und des Unternehmensrechts im deutsch-japanischen Rechtsverkehr,というドイツ語論文を発表し、日本の閉鎖会社の少数派株主の保護の現状をドイツの研究者および実務家に向けて明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これからは、現在日本で行われつつある会社法改正について、英語、ドイツ語で発表することを目標にしていきたい。英語およびドイツ語で、日本の企業結合法制の議論の状況を紹介する論文を書いていきたい。 また、現在、『企業結合法制の将来像』を中国語語で出版するプロジェクトが始まっており、これにも科学研究費の援助で、迅速に実現したい。 高橋英治「持分会社と企業結合法制」という『商事法務』に発表した論文については、英訳して、修正を施し、ドイツ語で発表したい。 二〇一三年九月一二日~一三日に南京で開催される第四回ティッセン財団国際シンポジウムにおける筆者の報告原稿「日本における企業組織法の発展――二〇一三年会社法改正によるコーポレート・ガバナンス改革を中心に」というドイツ語での報告で日本の少数派株主保護の実態を明らかにするとともに、日本が、ドイツ法から何を学べるのか、あるいは、ドイツ・東アジアに対して、日本法がどのような示唆を与えうるのかについても明らかにしたい。 2014年9月のミネアポリスのSt.Thomas Universityで開催されるシンポジウムでは、日本の会社法の少数派株主の保護の問題を英語で報告したい。
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