2009 Fiscal Year Annual Research Report
情報システム化社会における財産および財産管理の基礎理論の再構築
Project/Area Number |
21530092
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
片山 直也 Keio University, 法務研究科, 教授 (00202010)
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Keywords | 財産 / 財産管理 / 顧客 / 営業財産 / 包括担保 |
Research Abstract |
1.本研究は、個人の財産や資産およびその管理形態が多様化する21世紀の情報システム社会においては、私法の基ステム社会においては、私法の基本法である民法中の「物」「財産」概念を大幅に見直す必要があるとの認識に基づき、権利の客体を「物(有体物)」に限定定せずに、無体物も含んだ「財産」と規定し、わが国の物・物権制度とは異なる展開を遂げたフランス法における財産および財産管理をめぐる法状況を比較法的な手法を用いて分析・検討することを目的としている。 2.本年度は、まずは、基礎的研究として、「財産」「所有権」などの基本概念をめぐろフランス法と日本法との比較検討を総合的に行うために、研究代表者(片山)がメンバーの一人として事務局を担当する「フランス物権法研究会」と連携して、日仏各7名の研究者によるシンポジウム「21世紀における所有権および財産-日仏比較研究」(平成22年9月27日28日・パリ第2大学にて実施予定)を企画し、ムスタフア・メキ教授(パリ13大学)をカウンター・パートナーとしてそのための準備を進めてきた。 3.からに、新たな財産の特徴を、「無体性」および「複合性」という視角から捉えて、「営業財産」(「顧客」)と「有価証券資産」を具体的な研究対象とし、その社会経済的な実態の解明およびそれを支える財産法の構造を分析するとともに、併せてEU法レベルで広く承認されつつある「無体所有権」概念の展開を視野に入れて研究を深化させてきた。この点関しては、上記日仏シンポジウムで、ニコラ・バンクタン教授(ポワチエ大学)とともに、「無体性と包括性-価値の一般理論をめざして」とのテーマで共同報告をなし、その成果を公表する。併せて、平成22年度中に研究代表者の研究拠点であるトゥールーズにおいて、法律実務家を対象とした実態調査を行う予定である。 4.本研究の成果は、近い将来に予想される我が国における民法(物権法)の改正に向けての貴重な基盤研究となると確信している。
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