2009 Fiscal Year Annual Research Report
「従業員の経営参加」としての従業員持株制度と企業の社会的責任
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21530101
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
道野 真弘 Kinki University, 法学部, 教授 (70292084)
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Keywords | 従業員持株制度 / 従業員の経営参加 |
Research Abstract |
平成21年度は、当初予定していたとおり、研究の素材としての、従業員持株制度の実務上の動向調査を主として行った。本年度は上場企業に限定したが、企業が、従業員持株制度を実施する際に、どのような位置づけで行っているのか、また制度に伴い設置されることの多い従業員持株会の法的性質やその意義などについて、調査した。同時に、昨今話題となっているいわゆる日本版ESOPと称されるアメリカ型従業員持株制度の導入に対する動向も調査した。旧来型の従業員持株制度と日本版ESOPとを並行実施するのか、旧来型を廃止して日本版ESOPに移行するのか、などである。(アンケート調査自体は一応終了したが)調査結果の分析は本年度中には完了しなかったため、次年度以降の課題としたいが、非上場企業の当該制度や諸外国のそれの状況調査などと比較したいと考えている。 本年度はまた、従業員持株制度の法的諸問題の検討の一環として、次項に掲げる論文を執筆した。判例を素材に、従業員持株制度の解散・廃止にかかる諸問題を論じたものである。廃止の際には、従業員の承認が必要なのか否か、どこまでの負担が必要なのかは諸企業の関心の高いところであるが、そういった点に踏み込んだ論文である。題名が示すように、従業員持株制度にかかる研究の一部にすぎず、これを足がかりに、来年度以降の研究につなげていく所存である。 なお以上の研究は、従業員持株制度が経済状況と大きく関連し、不況や企業再編の流れの中で、その存在意義を問われつつある中、理論はもとより実務的にどのような位置づけを与えられているかを調査した研究は近年見当たらず、調査結果の分析の如何に関わらず、したがってその重要性は言うまでもない。
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Research Products
(1 results)