2010 Fiscal Year Annual Research Report
EUの共通庇護政策における難民等出身国および経由国との協力に関する研究
Project/Area Number |
21530107
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中坂 恵美子 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (20284127)
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Keywords | 難民 / 庇護 / EU / 経由国 / ベラルーシ / UNHCR / 地域保護プログラム / NGO |
Research Abstract |
本年度は、難民等の経由国の一つとしてEUの地域保護プログラム実施の対象となっている国の一つであるベラルーシにおいて現地調査を9月に実施した。訪問先は、UNHCRミンスク事務所、難民に関する市民への啓蒙活動を行なっているNGOであるEvolutio、ベラルーシ赤十字委員会、難民の法的支援を行っているNGOであるBelarusian Movement of Medical Workers、教育委員会の組織であるEvrika、ベラルーシ国家国境委員会である。それぞれの訪問におけるインタビューによって、EUの地域保護プログラムとして財政的な援助を得ることによって、ミンスクでは以前は行われていなかったような難民に関する活動が行なわれているようになっていることがわかった。それらは、市民の間での意識の向上のための活動、難民の子どもたちへの特別な教育、法的な助言、国境での難民管理などがある。ただし、ベラルーシにおいては、難民申請者数自体がそれほど多いわけではなく、現在のところ難民の存在が大きな社会問題になっているとはいえない。それにもかかわらず、難民に対する社会政策が整えられていることは、EUの地域保護プログラムが大きな役割を果たしているという評価につながる。 また、2月17日~19日にタイのバンコクで行われたアジア太平洋EU学会において、"Influence of the European Union Policy on the Asia Pacific Region ; Multilevel Governance and Quality of Regulation"というタイトルで、EUがウクライナ、ベラルーシでという難民等の経由国で行って地域保護プログラムに関する報告を行い、EUの難民政策の対外的な側面が、アジアにも及ぼす可能性のある影響について論じ、会議の出席者と意見の交換をした。
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