2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530116
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
浅見 靖仁 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (60251500)
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Keywords | 社会保障制度 / 失業保険 / 東南アジア / タイ:マレーシア:フィリピン / 福祉レジーム / 社会政策 / 社会保険 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
研究期間の最終年度である平成23年度も順調に研究を進め、研究成果の発表も行うことができた。フィールド調査については、8月にタイ、12月にマレーシアを訪問し、社会保障制度の実務担当者にインタビューを行うとともに、両国の社会保障制度に関する詳細な資料を入手した。研究成果の発表については、ILOアジア太平洋地域総局が3月にASEAN加盟国の社会保険庁あるいはそれに相当する政府機関の幹部、使用者団体代表、労働者団体代表を集めてホーチミン市で開催した実務者会合に招聘され、英語で講演を行った。平成22年度に執筆したアジア諸国における社会保障制度の拡張に関する私の論文に、アジア開発銀行のスタッフが大きな関心を示し、平成23年度にはアジア開発銀行で講演をする予定であったが、この担当者が昨年夏にアジア開発銀行からILOアジア太平洋地域総局に移ったため、ILOアジア太平洋地域総局が主催する国際セミナーで研究成果を報告することになった。また、平成24年4月に韓国のソウル市で開かれたアジア世界史学会(Asian Association of World Historians)の研究大会でも研究成果の一部を報告した。 今回の3年間の研究プロジェクトによって、東南アジア諸国における社会保障制度の実態とその特徴を詳細に調べ、特に法定解雇手当と失業保険に関する理論的分析を進めることができた。アジア諸国における法定解雇手当制度と失業保険の双方について、その不完全な相互補完性を理論的に考察した研究はまだ蓄積が少ない中にあって、失業保険導入と失業保険の導入後も法定解雇手当制度を存続されることの経済的な合理性と政治的合理性について理論的な考察を行った意義は大きいと思われる。またこうした研究成果を学界内だけでなく、ASEAN諸国の実務担当者にも直接伝えることができた。
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