2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530127
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
松尾 秀哉 聖学院大学, 政治経済学部, 准教授 (50453452)
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Keywords | ベルギー / 政治空白 / 連邦制 / 民族対立 / 多極共存型民主主義 |
Research Abstract |
西欧の小国ベルギーでは、2007年以来「国家分裂」の危機にある。本研究はこのベルギー分裂危機の要因を考察することを第一の目的とした。当初2007年6月の総選挙後の、190日 以上に亙る政権形成交渉(政権の「空白」)期の「時間」とその後の「政治的不安定」との関係を、フランス、ドイツの政権形成過程との比較によって明らかにしようとした。 この点では、第一に、政権形成交渉の「時間」を左右する要因を、フランス、ドイツ、ベルギーの比較によって、制度的変数(国家元首の権力)と、政党システム変数(破片化の程度)との組み合わせで考察し、政権形成に要する「時間」が左右されることを本研究で明らかにした。 ただし、特に2011年度は、ベルギーが再び長期の政治空白(世界記録の更新)に入ったことにより、ここまでの研究成果をもとに、ベルギーの調査に注力した。11月に渡欧し政権形成直前のベルギーにおいて資料を収集し、特にベルギーの1年半に渡る政治空白の交渉過程に注力し、長期化の原因を明らかにした(ベルギーにおいてフランス、ドイツの関連資料の調査も行なった)。 第一に、民族・地域主義政党(N-VA)が合意形成を拒んだ理由につき、「地域主義政党としての存在意義」に固執したゆえであることを明らかにした。さらにN-VAと選挙協力をかつて組み、協力関係にあったCDVの行動の理由を「次期選挙」に対する読みに負うとし、これらが連邦化によって生じた「政党システムの多層化」によって生じたこと、すなわち「連邦制の逆説」が生じていることを明らかにした。これらの成果は、2012年度の比較政治学会、日本政治学会等で報告することになっている。 またドイツ、フランスとの比較(「時間」と「政治的不安定」の関係)は、近日所属機関の紀要に投稿の予定である。
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Research Products
(2 results)