2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530129
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
中金 聡 国士舘大学, 政経学部, 教授 (90269712)
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Keywords | 政治哲学 / エピクロス主義 / コンヴェンショナリズム / 自然法 / 正義 |
Research Abstract |
研究2年次にあたる今年度は、エピクロス主義の近代的展開の分析をテーマとし、前半としてモンテーニュ、ガッサンディおよびホッブズにおけるエピクロス主義の受容と修正について考察した。その成果として、まず近代エピクロス主義の中核を正義のコンヴェンショナリズムに見るという本研究の趣旨に沿って、モンテーニュ、ホッブズ、パスカルの懐疑主義の系譜をエピクロス主義的正義論の継受という観点から再解釈する「モンテーニュとオークショット-懐疑主義的保守主義の系譜」(野田裕久編『保守主義とは何か』所収)を発表した。ホッブズについては研究3年次に本格的に取り組む予定だが、その前哨として、口頭報告「ホッブズにおける自然学と人間学」(慶應義塾大学政治思想研究会Quo Vadis)でホッブズのコンヴェンショナリズムにおけるエピクロス主義の影響を指摘し、同タイトルの論文(慶應義塾大学法学部法学研究会『法学研究』第83巻第10号)でその趣旨を敷術・整序した。エピクロス主義の近代における復興者として知られるガッサンディだが、その具体的内容を精査した先行研究はきわめて少ない。この研究史上の欠落を補うべく、論文「エピクロスの帰還-ガッサンディにおける哲学的著述の技法について」(国士舘大学政経学部付属政治研究所『政治研究』第2号)では、ガッサンディのラテン語原典の読解をつうじて、危険なエピクロス主義を復興するために動員された著述の技法を正確に理解することを試みた。その他関連する今年度の成果として、竹下節子著『無神論-二千年の混沌と相剋を超えて』に対する書評「引き絞られた弓の張り」(『図書新聞』2984号)がある。現在は研究3年目に向け、ホッブズの政治思想と宗教論にガッサンディ経由のエピクロス主義的要素を見る論文を鋭意準備している。
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Research Products
(4 results)