2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530133
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福田 耕治 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20165286)
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Keywords | EU / 雇用政策 / 年金制度 / 高齢社会 / リスク管理 / 人口動熊 / リスボン戦略 / 医療費 |
Research Abstract |
人口の高齢化は、社会的なリスクとして捉えることができる。EU諸国では人口高齢社会化の進行に加え、世界金融危機・金融危機に伴う国家財政の逼迫に直面し、もはや従来のような手厚い社会保障を提供できる財政状況ではなくなった。そこで2010年度は、第1に、EU・欧州諸国が直面する経済・財政危機との関連で人口高齢化状況を明らかにし、この課題に対応するための高齢者雇用の現状と雇用可能性を検討した。第2に、EU/欧州公共圏の形成と公共政策のリスク管理の関連性を分析し、日本公共政策学会において研究報告を行い、また佐倉市国際文化大学において高齢者を対象とする講演でその成果を一般に公開した。第3に、高齢者の就業・引退決定に影響を与える年金制度などの所得保障や医療保障をめぐる問題を、デモクラシーとアカウンタビリティの観点から検討し、その理論的側面について著書の1章として論文を公刊し、社会的リスクの制御をめぐる諸問題を明確化した。世界経済危機の影響を受け、EU高齢社会戦略、年金制度や医療保障のあり方を明らかにし、わが国の経済発展・財政改革と年金制度改革への示唆となるに違いない。これは、ギリシャ財政危機に始まる欧州各国への財政・経済危機の連鎖、高齢者にとっては経済的自己負担の増加もしくはサービスの低下を意味し、貧困者であれば医療アクセスへの困難性から健康リスクの増大ともかかわるため、リスボン条約発効以後の機構改革と欧州ガバナンス論の観点から理論的な考察を行い、論稿にまとめた。
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