2010 Fiscal Year Annual Research Report
公民連携の促進/阻害要因―地縁型団体・テーマ型団体・地方政府の連携パターン分析
Project/Area Number |
21530138
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
徳久 恭子 立命館大学, 法学部, 准教授 (60440997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗本 裕見 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特別研究員 (00449539)
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Keywords | 公民連携 / 都市内分権 / 新しい公共 / 地域自治区 / 上越市 / 宮崎市 |
Research Abstract |
近年,日本の地方政府の多くは,行政リソースが縮減するなかで,多様化する政策需要にいかに応えるかという課題に直面している。公民連携がさかんに求められるのも,行政が単独で担えなくなった公共サービスを維持する手段と位置づけられているからであるが,実態は不十分といえる。本研究は,地域における最適な公共サービスを選択し実行する仕組みをもつことが地域の諸団体間の連携を強め,公共サービスの提供を可能にするという仮説を採用し,実態を把握することを課題としている。ところが,日本は狭域における決定と執行に関する公式の制度を持たない。そこでこれと近似する地域自治区制度をもつ上越市と宮崎市の取組みを検討した。 7つの地域自治区(上越市3,宮崎市4)を検討した結果,地域自治区という制度は,住民に地域の問題に目を向けさせ解決を求めること,既存の団体間の連携を促すことが確認できた。しかし,地域自治区は地域の課題設定を保障するものの,執行の制度を明示しない。このため,執行に向けた組織づくりができるかどうかにより,政策パフォーマンスが異なると思われる。執行の制度を備える宮崎市と備えない上越市の比較から,組織化が公共サービスの提供を可能にすることを明らかにした。以上のことから,決定と執行の制度を兼ね備えることが地域における公共サービスの提供を可能にすることがわかる。 だがそのことは,大局的な見地や必要性の観点から選択された事業であることを保証しない。財政的制約を念頭に置けば,事業の選択と集中が求められるが,それを行っている地域自治区は例外的であることが二市の全地域自治区の事業から明らかになった。成功例から推察されることは,目前の危機や明示的な費用負担が長期的見通しを伴う事業選択を行う契機になるということである。この点を明らかにすることを次年度の課題としたい。
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Research Products
(3 results)