2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530156
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青山 瑠妙 Waseda University, 教育・総合科学学術院, 教授 (20329022)
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Keywords | 地域研究 / 国際関係 / 対外政策 |
Research Abstract |
本年度は、以下の3つの問題に焦点を絞り、中国のアジア地域戦略、そして中国とアジア地域統合との関係の解明に取り組んだ。 まず、中国と他の大国との関係(日本)との関係の解明である。中国のプレゼンスの増大は、日中関係に競争的な関係をもたらし、相互に対立の生じやすい時期を迎えた。冷戦後の日中関係の研究については、パワーシフト、両国の歴史、領土問題、アイデンティティの違いなどを中心に多数の先行研究がすでに存在しているが、両国対立を抑制するメカニズムは両国間で構築されているのか、そしてこうしたメカニズムが有効に機能しているのかに焦点を当てた研究は限られている。本年度の研究は、日中両国関係、そしてアジア地域統合における日中両国の協力関係構築について検討し、そして今後の協力の可能性と問題点を析出することに注力した。 第二に、「上海協力機構(SCO)」と中国との関係の解明である。SCOの総面積はユーラシアの3/5、人口は世界の1/4を占めている。オブザーバーを含めた参加国はインド洋と東ヨーロッパまで勢力を拡大しつつある。SCOは設立当初から国際秩序への影響についてさまざまな懸念が表明されているが、中国を含めた上海協力機構の加盟国という内なる視点からみれば、同機構は安全保障、経済、外交という三つの点で加盟国にとって重要な地域機構であるといえる。 第三に、中国のコミットメントのクレディビリティの解明である。政治、経済など様々な側面で中国と世界カ国とのつながりが深まる中、中国外交の成否はある意味で他国との摩擦を解消するための重要な手段の一つである広報活動(対外行動の意図に関する説得力)にかかっているといえる。パブリック・ディプロマシーは中国外交の重要な一部を構成しているが、中国の外交にプラスの作用を果たせるかどうかをめぐる分析については今後の課題として残されている。
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Research Products
(4 results)