2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530156
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青山 瑠妙 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20329022)
|
Keywords | 対外政策論 / 外交史・国際関係史 / 安全保障論 / 政治過程論 |
Research Abstract |
中国と周辺国家との関係は2010年から大きく変化した。アジア地域において中国のプレゼンスが高まる一方、特に領土問題をめぐり中国と周辺国家との関係は一部で悪化している。こうした変化に合わせて、本年度はこれまでの研究を踏まえつつ、以下の二つの課題に焦点をあてて研究を行った。 第1の研究課題は海における領土問題である。領海問題をめぐり、近年、アジア地域において緊張が高まっている。経済成長で自信をつけた中国は強硬な対外姿勢に転じているとも言われているが、海洋主権に関して、現時点で統一した中国の政策は確立されていない。中国の海洋主権に関する政策をめぐっては、省庁や地方の主張、スタンスには相互に距離感がある。中国全体として一枚岩とは言い難く、省庁や地方の政策の変遷プロセスも異なっている。こうした状況の下、海洋政策について、今の中国には「協調、関与、強硬」の三つの姿勢が同時に存在している。 第2の研究課題は、経済統合を通じて政治的プレゼンスを高める中国の外交戦略の展開プロセスとその意味についてである。経済分野における協力を中心とした中国の「アジア一体化」戦略は西南開発区、西北開発区、北東アジア開発区において、同心円的に進捗していることが観察される。こうした中国の「アジア一体化」戦略は、突き詰めて言えば「国境経済圏アプローチ」と呼ぶことができる。他方、中国の戦略が国際関係に強く拘束されていることも事実である。北東、酉南、西北で同様の政策が推進されているにもかかわらず、それぞれの進捗状況はまったく違ったものとなっている。地域経済発展戦賂はそれぞれの地域の国際情勢と深くかかわっているだけに、国際関係との相互作用の中、結果として中国のアジア一体化戦略が視野とする地理的範囲は、「大周辺」に拡大する可能性がある一方で、「小周辺」をカバーすることさえ難しいかもしれない。
|
Research Products
(5 results)