2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三宅 充展 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00190752)
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Keywords | 消費者余剰 / 社会厚生関数 |
Research Abstract |
当初の計画調書のとうり、今年度は、市場経済における価格変化と所得変化に対する消費者余剰とそれによる社会厚生関数の可能性定理の分析について研究を行った。さらに具体的な消費データと厚生指標との関連性を明らかにする研究をおこなった。その成果は単著論文(論題:Axiomatic characterizations of the aggregate consumer surplus measures as social welfare indices)にまとめた。なおこの論文は国際学会:Asian Meeting of Econometric Society,2011で口頭報告するとともに、当該学会の予稿集AMES2011(電子媒体:USBメモリー)において公表した。これは韓国での学会であったが、欧米の研究者が集まる国際学会:European Meeting of Econometric Societyでも同じ論題で口頭報告をおこなった。具体的には、消費者余剰に基づく政策評価指標をアロー型社会厚生関数として定式化し、それがいくつかの公理(パレート性公理、対称性公理および独立性公理)によって特定化可能であることを証明した。特に、国際間の不平等、南北格差問題における、具体的な消費データと厚生指標との関連性が明らかにされたが、医療、福祉問題への応用は、現段階の分析では不十分であることが判明した。その理由は、医療、福祉問題では、伝統的に等価尺度による厚生指標が用いられ、消費者余剰に基づく評価指標は殆ど採用されていないからである。これに対して、国際間の不平等問題には消費者余剰の公理系がそのまま適用可能であることがわかった。
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