2011 Fiscal Year Annual Research Report
経済ネットワークの構造-リンク形成の費用・効率性と対安定性をめぐって
Project/Area Number |
21530170
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
玉田 康成 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (30265938)
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Keywords | ネットワーク / リンク形成 / コネクション / ゲーム理論 / 組織構造 |
Research Abstract |
Effects of Players' Asymmetry on a Network Formation: 企業間の共同研究開発,国家間のFTA,電気通信の相互接続など,相互のリンクを形成する個別のインセンティブと,結果として実現するネットワーク性質を調べることが研究の目的である.これまで,プレイヤーが対称的なケースに焦点を当てて分析を行い,ネットワークの対安定性と効率性との関連を調べる上で,リンクの価値関数の凸性,凹性が重要であることを明らかにした.本研究では,より現実的な状況としてプレイヤーの貢献が非対称であるような状況を想定し,シミュレーション分析を行った.主要な結論として,凸性のもとではプレイヤーの非対称性はネットワークの対安定性や効率性に対して影響を及ぼさないが,凹性のもとでは対安定的なネットワークと効率的なネットワークの乖離が大きくなることが分かった.このことから,自発的なネットワーク形成に対する政策的介入のあり方を検討することができる. Delegating the Decision-Making Authority to Terminate a Sequential Project: 企業内ネットワークの中でも,本研究は企業内の権限配分の構造を分析している.とくに複数の連続的な投資が必要なプロジェクトについて,プロジェクトの継続を決定する権限をどの主体に与えることが望ましいかを分析している.主体が自身のキャリアについて関心を持つとき,もし,プロジェクトの状況がよくないときにはストップすることが目的ならば,後で投資を行う主体に権限を与え,プロジェクトを常に継続することが目的ならば先に投資を行う主体に権限を与えることが効率的であることを明らかにしている.
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