2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530175
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
小田 秀典 京都産業大学, 経済学部, 教授 (40224240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八杉 満利子 京都産業大学, 名誉教授 (90022277)
秋山 英三 筑波大学, システム情報工学研究科, 准教授 (40317300)
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Keywords | 計算可能性 / 認識論 / 実験哲学 / 実験経済学 |
Research Abstract |
1. 前年度に、人間の数理的な活動において重要な働きをする「極限再帰」という原理にしたがう(自然数上の)関数の、事実上は複雑かつ無限の操作である評価過程の「コンパクトな」すなわち、簡潔で「有限的」な表現を得た。それは一種の思考の節約である。今年度は「同一概念の充足性」という原理にしたがって、すでに得られたコンパクトな表現が再帰関数の計算可能性(停止性)も極限再帰関数の停止性も同時に表現することを利用して、極限再帰関数の評価過程を計算と見なしえることを示した。認識論的にはクワインの「認識論の自然化」を採用し、同一概念の充足性はデデキントの「新しい操作の導入に伴う領域の拡張」という数理哲学に依拠している。一見異質な評価過程の一元的な扱いは概念の節約ともいえる。 2. 人間の推論は,上記のような論理的側面だけでなく価値判断を含む.実験哲学におけるのKnobe Effectの研究は,客観的判断(行為が意図的であるか否か)と主観的判断(行為が社会に対して及ぼす効果の善悪)の分解についての直感が正しくないことを示唆している.前年度からのこの問題意識に従って、Knobe効果の実験経済学実験の分析を進めた。Knobe効果は哲学実験では広く認められているにもかかわらず、経済実験では否定されている。我々の実験は、Knobe効果は、経済実験でも確かに存在するが、平等分配と順位保存というもっと強力な原理が十分に働かないときの副次的原理であることを示唆する。この結果を論文にまとめ本年度の国際会議での報告と問うこの準備を完了した。 3. 人間の合理性・推論能力の限界が集団レベルのルールの形成・進化に与える影響を検証し、相互作用の形式との関係を分析した。この結果をまとめた論文は査読付学術誌に出版している。
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Research Products
(6 results)