2009 Fiscal Year Annual Research Report
情報構造をもつn人囚人のジレンマにおける均衡選択についての実験的研究
Project/Area Number |
21530180
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西原 宏 Fukuoka University, 経済学部, 教授 (10198492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿比留 正弘 福岡大学, 経済学部, 教授 (20175897)
今泉 博国 福岡大学, 経済学部, 教授 (30151666)
鍵原 理人 福岡大学, 経済学部, 准教授 (70352226)
米田 清 福岡大学, 経済学部, 教授 (90320267)
渡辺 淳一 福岡大学, 経済学部, 教授 (40230966)
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Keywords | 実験経済学 / ゲーム理論 / 囚人のジレンマ / 意思決定 |
Research Abstract |
平成21年度は,2人ゲームの囚人のジレンマによって実験を6回(総被験者数約300人)行った.各回の実験では,先に採られた非協力情報が得られる場合(非協力探知確率1)と得られない場合について,各々strategy methodによって選択してもらい,さらにその理由の記述も求めた.分析の結果,次の3点が明らかになった. 1.非協力情報がない場合とある場合を比較すると,ある場合には協力の選択は有意に増加する. 2.非協力情報がある場合は,ほぼ半々の割合で,協力均衡戦略と非協力均衡戦略が採られる. 3.協力的均衡戦略をとる被験者の多くは自分の選択に対する相手の反応を考えて戦略的に選択を行っているのに対し,非協力的均衡戦略をとる被験者の多くは利得表の特徴に注目して選択を行っている. 「研究の目的」は,協力均衡戦略と非協力均衡戦略のどちらが採られるかを実証的に明らかにすることである.上の結果は,これについて一定の回答を与えている.特に3は重要で,均衡戦略のの選択において,被験者の意思決定の仕方が強くかかわっていることを示している.従来の実験研究では1,2のような選択の割合についての結果が多く示されていた.3は意思決定者の考え方の相違にまで踏み込んでいる点に価値がある.「研究実施計画」では,初年度は2人ゲームについて,1回きりの場合や繰り返しゲームの場合にどのような選択を行うかを調べる予定であった.しかし,実験のデザインにあたりstrategy methodの有用性が明らかになったので,1回きりの場合に限定し,熟慮の上,理由を明記してもらうことにした.これが上記の結果の導出につながった.今年度は,上の結果の頑健性を確保するため,さらにサンプル数を増やして同様の実験を行い,より確かな結論を導く.そして,学会報告,論文としての発表につなげていきたいと考えている.
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