2011 Fiscal Year Annual Research Report
情報構造をもつn人囚人のジレンマにおける均衡選択についての実験的研究
Project/Area Number |
21530180
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西原 宏 福岡大学, 経済学部, 教授 (10198492)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿比留 正弘 福岡大学, 経済学部, 教授 (20175897)
今泉 博国 福岡大学, 経済学部, 教授 (30151666)
鍵原 理人 福岡大学, 経済学部, 准教授 (70352226)
米田 清 福岡大学, 経済学部, 教授 (90320267)
渡辺 淳一 福岡大学, 経済学部, 教授 (40230966)
|
Keywords | 囚人のジレンマ / 情報構造 / 実験 / strategy method / リスク優位 |
Research Abstract |
本研究の目的は、囚人のジレンマが逐次手番でプレイされ、非協力探知型情報構造(非協力行動のみが観察される情報構造)が与えられるとき、理論的に存在する協力均衡の戦略が実際に採られるか否かを実験によって検証することであった。平成21、22年に行った実験により、約700人の被験者の行動選択とその理由が、strategymethodと質問紙調査のデータとして採られた。平成23年度の前半では、それらのデータを詳細に分析した。得られた主な結果は以下の通り。 1.非協力の誘因(「協力」より「非協力」を採ることで得られる利得の増分)が適度の大きさであれば、通常の囚人のジレンマと比較して、非協力探知型の囚人のジレンマでは協力的戦略(互いにそれを採れば2人とも「協力」を採る戦略)の選択比率が高まることが、有意水準1%で確認された。 2.協力的戦略の選択とリスク優位との関連が示唆された。 3.非協力探知型情報構造のもとでは、相手が協力的戦略を採るという信念をもつ被験者は協力的戦略を採り、相手が非協力的戦略を採るという信念をもつ被験者は非協力的戦略を採る傾向が確認された。 これらの結果は、非協力探知型情報構造が囚人のジレンマの解消に対して一定の効果をもつことを示唆しており、意義のある結果であると考えられる。 平成23年度の後半では、これらの結果を行動経済学会、実験社会科学カンファレンス、早稲田大学木曜セミナー、神戸大学実験経済学セミナーで報告した。行動経済学会における報告は、プロシーディングスとして公表された。現在、国際誌への投稿に向けて準備中である。 当初の研究計画では、ゲームが繰り返される場合の戦略の収束や非協力行動の確率的観測に対する頑健性の検討も予定していたが、上述の結果を有意義である考え、この段階でまとめることを優先した。これらの問題は将来への課題としたい。
|