2010 Fiscal Year Annual Research Report
多元的秩序構想における経済学統合化の試み-中間組織の経済倫理学に向けて-
Project/Area Number |
21530181
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永合 位行 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40218037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 純 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (40283858)
佐々木 亘 鹿児島純心女子短期大学, 生活学科, 教授 (40211940)
村上 寿来 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (10379505)
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Keywords | 経済政策 / 経済倫理学 / 多元的秩序 / 中間組織 / 福祉国家 / 公的介護保険制度 / 自然法 |
Research Abstract |
本研究では昨年度に続き、経済分析における二元論的枠組みを批判的に検討し、これを克服するための基礎理論を展開することによって、多元的秩序構想を経済学的に基礎付けることを目的とした諸研究を行った。主な具体的成果は以下のものである。 A.経済社会における市場と国家の役割に関する最新の学説として、K.ホーマンの社会的市場経済の構想を取りあげ、経済領域と倫理領域を統合的に説明しようとする政策構想のあり方を検討した。B.トマスの自然法論に依拠しながら、ペルソナの多元性、および経済主体の多元性に関する考察を中心に、多元的秩序構造の再構築に関する思想的な基盤を検討した。C.社会的セクターにおける組織(NPOや協同組合組織など)の活動について、「関係財」概念を用いて理論化することによって、企業組織の経済分析において狭義の経済的価値以外の価値をどのように組み入れることができるか、特にソーシャル・キャピタルと非営利組織の機能との関連について検討した。D.地域共同体などのインフォーマルな組織のアンケート調査研究を通じて、それらの社会的機能、特に公的介護保険制度との相互連関についての実証的分析を行った。さらに、ドイツの基礎保証制度に関する考察を行った。 これらの基礎研究は、福祉国家から福祉社会への展開、あるいはNPOや協同組合、各種のコミュニティなど、純粋営利部門でも公的部門でもない領域の役割と機能、および社会保障制度をはじめとする関連諸政策のあり方といった、きわめて現代的な課題に取り組むための枠組みの構築に寄与するものである。
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