2011 Fiscal Year Annual Research Report
多元的秩序構想における経済学統合化の試み-中間組織の経済倫理学に向けて-
Project/Area Number |
21530181
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永合 位行 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40218037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 純 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (40283858)
佐々木 亘 鹿児島純心女子短期大学, 生活学科, 教授 (40211940)
村上 寿来 名古屋学院大学, 経済学部, 講師 (10379505)
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Keywords | 経済政策 / 経済倫理学 / 多元的秩序 / 中間組織 / 福祉国家 / 非営利組織 / 共同体 / 自然法 |
Research Abstract |
本研究3年目にあたる今年度は、これまでの研究の展開を踏まえ、主に以下のような研究を行った。 A.この2年間の経済倫理学研究を全体として整理する作業を行った。ドイツ語圏における主要な経済倫理学研究の基本的特徴・限界を全体として整理し、既存研究を本研究の基盤となる新たな経済倫理学構想へと結びつける作業を行った。その成果を経済社会学会東西合同研究会で報告するとともに、論文として発表した。 B.人間の連帯性に関する様々な次元での研究を行なった。経済学の分野では学会誌に査読つき論文が掲載される一方、哲学では哲学者の連帯性について発表し、また、宗教思想の分野では、「共同体と連帯性」という博士論文の作成に着手した。加えて、京大中世哲学研究会で企画したThe Cambridge Companion to Medieval Philosophyの翻訳においては、政治哲学を担当した。 C.非営利経済セクターおよび非営利組織に関して、その経済的機能を経済システムにおいてどのように位置づけるかを課題とした研究を行った。特に、社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)概念の展開とその諸問題を再検討することによって、関係財理論を用いた非営利組織分析の特徴と意義を明らかにした。 D.中間組織としての地域組織に焦点を当て、阪神淡路大震災の復興過程におけるその意義と役割について量的・質的データにより実証的に明らかにするとともに、それを踏まえた東日本大震災の復興課題と復興政策の方向性について検討した。 これらの研究は、経済分析における二元論的枠組みを批判的に検討し、それを克服するための基礎理論を展開することによって、多元的秩序構想の経済学的基礎付け、および関連する経済政策研究に寄与するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間組織に関わる経済政策分析の基礎理論を構築しようとする本研究の目的に向けて、各研究分担者はそれぞれの研究の展開と発表を行い、同時に代表者はそれらの諸研究を統括するべき経済倫理学的基盤の形成を進展させている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本研究の最終年度にあたるため、各研究分担領域におけるそれぞれの研究成果を相互に参照し、そこから新たな知見を見いだす作業を進めたい。その上で、具体的分析対象の違いや、分析アプローチの違いによって生じる諸問題を認識することを通じて、多元的秩序論を軸として統合された本研究が各研究領域にどのようなフィードバックをもたらしうるかを示すことを課題とする。
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Research Products
(14 results)