2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530186
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 幸弘 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80211720)
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Keywords | カールメンガー / オーストリア学派 / ルドルフ皇太子 / 経済的自由主義 / ヴィーン大学 / 自由主義 / 新自由主義 / 主観主義 |
Research Abstract |
平成二十二年度は研究計画の二年目にあたる。昨年度も二回にわたるヴィーン滞在で資料収集に従事した。訪問したのは、オーストリア国立図書館ならびにオーストリア国立文書館である。前者では、主としてハイエク編メンガー著作集に含まれていないメンガーの論考を探索しコピーした。これは新聞に発表したものが多く、そのほとんどが書評からなる。書評はたんに書評であるにとどまらず、そこには評者の考えや政治的イデオロギーがいわばネガの形で現れていることが多々ある。この意味で、メンガー筆の書評も、数の多さもさることながら重要である。二回目の滞在では、これまでとは若干視点を変えて、メンガー以外のオーストリア学派について資料収集を行った。対象はさしあたり、第二世代に属するオイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクとフリードリッヒ・ヴィーザーである。これらについては、ベームを中心として塘茂樹氏の学位論文があり、まずは塘氏の閲覧した資料を私自身確認することからはじめている。メンガーの後半生は、こうした新しい世代の教育、育成にあてられているので、かれらとの関係や学問的討議はそれ自体メンガー研究の立場からも無視できない。昨年度はこれまでの研究成果をふまえ、二本の論文を公表した。まずは、ハラルド・ハーゲマン、西澤保氏らとの共編著である。私自身は、両氏と序文を草するほか、メンガーの経済的自由主義についての論考を寄稿した。また、年度末に、一橋大学社会科学古典資料センターの委嘱により、同センター所蔵のメンガー文庫について論考を寄稿した。内容は、同センター所蔵のメンガー『国民経済学原理』手沢本についての解説である。論考の詳細なタイトルなどは別項目を参照されたい。なお、後者については社会科学古典資料センターのウェブサイトに掲載されており広く一般に公開中である。すでに海外の研究者を中心に反響がある。
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Research Products
(2 results)