2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530186
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池田 幸弘 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (80211720)
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Keywords | カール・メンガー / オーストリア学派 / フリードリッヒ・ハイエク / アダム・スミス / 歴史学派 / ブルーノ・ヒルデブラント / 合理主義 / 啓蒙思想 |
Research Abstract |
最終年度のあたる今回については、以下の三点をあげる。六月に開催されたアメリカ経済学史学会に出席、報告し、メンガーの『方法論』を対象に、そのなかに見られるメンガーのスミス理解と歴史学派、具体的にはブルーノ・ヒルデブラントのスミス理解との差異と共通性を探った。同学会への参加は初めてであったが、未知との研究者との出会いによって経済学史研究全般について多くの刺激を受けたほか、拙論については、セッションの参加者、とくにコメンテーターのモーリス・ラグー氏から、メンガー、ハイエクの「合理主義」の概念をめぐって、貴重なコメントをいただいた。氏からは、帰国後にも文書でさらに詳細な批判をいただいた。また、別の機会に、ジャンドメニカ・ベッキオ、マリア・パガネッリの諸氏からも示唆を得ている。現在、本報告論文は査読付雑誌に投稿中であり、査読者のコメントをふまえた改訂作業に従事している。2012年中には活字化できるように鋭意努めたい。さらに、十一月には学園祭の期間を利用して、ヴィーンを訪ね、国立文書館の資料収集に従事した。今回が、本補助金を使っての最後の機会となるので、いままで収集したものの資料の確認、読解の確認などに従事した。また、三月には、摂南大学で開催された進化経済学会に出席した。私は「経済理論史」や「人工市場研究とオーストリア学派市場過程論」など、多くのセッションに参加したほか、招待講演者のオリヴィエ・ファブロー氏の講演にも列し、質問をした。とくに、「経済理論史」のセッションでなされた、八木紀一郎氏の近著、『オーストリアとドイツの経済思想:主観主義から社会的進化へ』(ラウトレッジ社)についての報告は本研究と密接にかかわるものであり、セッションで質疑応答を行う機会を得た。これらは、本研究のさらなる遂行にとって多くの示唆を与えるものである。
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Research Products
(3 results)