2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530192
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 公俊 Nagaoka National College of Technology, 一般教育科, 教授 (00178716)
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Keywords | ビアトリス・ウェッブ / 福祉経済学 / 社会経済学 / ハーバート・スペンサー / 社会進化論 / レッセフェール / フェミニズム / 社会主義 |
Research Abstract |
平成21年度の佐藤公俊の業績は以下のとおり。 (1)「ビアトリス・ポッターの福祉経済学」を社会理論学会の研究会で報告した。(2)「ビアトリス・ポッターの経済学とフェミニズム」を仙台経済学研究会で報告した。 (3)「ビアトリス・ポッターの社会学的経済学の歴史的方法-生理学的方法から進化論的方法へ-」を『長岡工業高等専門学校 研究紀要』第45巻に掲載した。 (4)栗木安延記念論文集『危機の時代を視る-現状・歴史・思想』に、「ビアトリス・ポッターとハーバート・スペンサー」を寄稿した。 2008年の「ビアトリス・ポッター・ウェッブ「経済学の本性について』の紹介と翻訳」(『長岡工業高等専門学校研究紀要』、2008年3月)、および、(1)と(2)にもとづき、(3)と(4)が執筆された。 佐藤公俊は(1)と(2)と(3)で、ビアトリス・ウェッブの経済理論の特質を市場経済に限られない福祉経済や社会経済を捉えるもので、社会システム論の労働分析の嚆矢となると把握した一昨年以来の認識に基づき、ビアトリスの方法的指摘が,進化する社会システムの研究方法の先駆的指摘と評価したのである。それは、経済学の領域を市場から外部に、人間・生活・社会へ開いてゆくと捕らえる認識であり、進化の観点を有する社会生理学/病理学を含む生理学的方法から、複数の生産様式が進化しつつ相関的に社会を形成するとする認識であり、また、両者が結びついて新たな経済学の方向を示すものであるからなのである。 (4)で佐藤公俊は、1886年草稿でのビアトリスの「社会病理学の研究を含ませる経済学の領域について」の「定義」と、「機能的適応」の社会進化論の提起は、進化する社会システムの研究方法の先駆的指摘である点を確認した。それは、ビアトリスが、スペンサーから受け継いだ社会進化論的方法で、コントの社会学からの社会「領域」の分析を、コレクティビズム的社会主義、すなわち協同組合主義の観点でまとめたものであると評価できるものである。また、それは社会病理学と進化の観点を含む生物学的方法でもある。
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Research Products
(4 results)