2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530195
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 正人 Yokohama National University, 国際社会科学研究科, 教授 (60170354)
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Keywords | カルマンフィルター / 定常過程 / ラグランジュ乗数検定 |
Research Abstract |
二変量のカルマンフィルターモデルにたいして一定の制約条件をあたえたとき、誤差項と確率的共通トレンド項の識別が定常過程においても可能であり、確率的共通トレンド項の存在を対立仮説、その不存在を帰無仮説とする仮説検定が可能であることをある程度一般的なモデルにおいて厳密な形で示すことができた。すなわち、確率的共通トレンド項の有無がパラメターの制約の有無によって表現されるということ、対立仮説のもとでパラメターの値が尤度関数観測されるデータによって識別可能であるということが示された。すなわち、パラメターの値のベクトルと尤度の値が少なくとも局所的には一対一対応であることである。これは従来、共和分検定の検定により非定常過程にのみ可能であった「共通トレンドの存在の検定」が定常過程にたいしても可能であるという理論的な貢献である。 ラグランジュ乗数検定統計量の導出もいくつかの方法で行い、その分布計算を試行的におこなったところ、いずれもきわめて不正確なものであり、また計算時間も過大であった。むしろ非定常過程に対する検定と同様な性質をもつものであり、正規分布に由来する分布になるであるという予想からは大きくはずれたものであった。理論に重要な見落としがあるのか統計量の具体的な導出に誤りがあるのか不明であるが、22年度以降の研究において解明されるべき課題である。 二変数からの一般化についてもいくつかの方法で検討を行ったが、有用な定式化をうることができず、22年度以降の研究において解明されるべき課題である。
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