2009 Fiscal Year Annual Research Report
80年代以降の家計行動及び世帯構造についての実証研究―ミクロデータを用いた分析
Project/Area Number |
21530202
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
村田 啓子 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 教授 (90526443)
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Keywords | lifetime employment / seniority-based wage / 若年労働市場 / 初職 / Japan |
Research Abstract |
1. データベース作成作業 総務省「家計調査」、同「住宅土地統計調査」等の個票から家計の消費・貯蓄・資産・可処分所得等に関するデータベースを作成。家計調査字旧貯蓄動向調査について住所、世帯構成等得られる情報を活用し個票レベルでのマッチング作業も実施。 2. 実証的研究 家計の消費・貯蓄行動に大きな影響を及ぼす生涯所得と関連し、実証研究を行い中間的な研究成果として、2つのディスカッションペーパーを公表。 (1) 経済環境の変化と日本的雇用慣行 バブル崩壊後の長期不況や高齢化等日本の雇用を取り巻く環境には劇的な変化が指摘されているものの、先行研究では年功賃金制や終身雇用制に大きな変化は見出されていない。これは、日本的雇用慣行が外的ショックに対し容易には変化しないことを意味しているのかもしれない。そこで、総務省『賃金構造基本統計調査』(1989-2008年)の個票により分析。新卒採用後同一企業に勤務する男性常用労働者の賃金プロファイルは90年代に緩やかになり,直近(2007-08年)には40歳以降でプロファイルに屈曲がみられたほか、終身雇用者比率は,90年代後半以降大卒若年層で低下するなど、最近における日本的雇用の変化を示唆する結果を得た。 (2) 新卒時就職活動の失敗は挽回可能か? 就職活動時におけるマクロ経済状況が後々の就業状況に与える影響、特に、個々人が新卒時に常勤職に就いたか否かがその個人の後年における就業状態に与える影響(初職効果)を(財)家計経済研究所『消費生活に関するパネル調査』の個票データにより分析(対象は女性)。新卒時に常勤職で雇用されたか否かがその後の就業状態に影響することを確認した一方、さらに、こうした形で検出される初職効果は、卒業後2-3年内に常勤職に就いた場合、その後は新卒時に常勤職に就いた人と有意に異ならない就業状態の経路を辿れているという結果を得た。
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Research Products
(4 results)