2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530206
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
永易 淳 筑波大学, システム情報系, 准教授 (30375422)
|
Keywords | 為替相場 / リスク / 伝播効果 / ファクター・モデル |
Research Abstract |
本研究は、世界経済の成長と共に戦後目覚ましく発展してきた外国為替市場におけるリスクに焦点に当て、国家間のリスク変動を究明することが目的である。アジア通貨危機(1997)、リーマン・ショック(2008)、ギリシャ債務危機(2009)のように、近年においても金融・通貨危機が頻繁に勃発しており、一国の経済変化が他国に及ぼす影響を理解することは重要である。今年度は、主に次の2つの研究を行った。 先ず、為替リスクを統計的に分解することにより伝播効果を分析した研究に関しては、昨年度までのアジア・オセアニアから欧州新興国へと地域対象を変え研究を行った。ユーロ圏への参加希望国をサンプルに含んでいることもあるが、伝播効果の存在が確認され、特に小国においてこの効果が高いということを実証した。また、アメリカの金融政策・経済変動が伝播効果に及ぼす影響についても確認している。つまり、前年度のアジア・オセアニアからの結果と非常に類似していることが判明した。本研究は「Commom factors of the exchange risk premium in emerging European markets」という論文タイトルでBulletin of Economic Researchに掲載が決定されている。 二つ目の研究は主にフォワード・プレミアムを取り扱った論文である。このプレミアムの時系列的特徴である定常性が、数々の金融・通貨危機の時期において変化しており、これらのイベントがプレミアムの非定常要素を拡大させていることを示している。論文は「The threshold nonstationary panel data approach to forward premiums」という題名でUniversity Library of Munich, Germanyからワーキング・ペーパー(MPRA Paper 34265)として発表されている。
|