2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530224
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野崎 祐子 Hiroshima University, 社会科学研究科, 助教 (60452611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 克己 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (80243145)
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Keywords | motherhood wage penalty / work-life balance / 女性の就業継続 / 本源的認知能力(IQ) / time variant / invariant / The Effects of Education |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は、幼児期教育の充実が女性の就業に関わる意思決定(賃金水准を含)にどのような影響・効果を持つのか定量的に示すことにある。2009年度は、予備的な分析として、"The Effects of Education"をキーワードに、以下の2点に着目して研究を行った。1)女性の就業継続と賃金水準:女性は大卒以上の学歴を得ることによって、出産タイミングを遅らせるという選択をしていること、出産時期の先延ばしは短大卒以下では51.4~67.9%もの賃金水準低下(賃金ペナルティ)を伴うが、大卒以上では出産および出産タイミングの遅延によっても賃金ペナルティは存在しないことが明らかになった。さらに、職種を限定して分析したところ、高学歴かつ専門職においては、そのようなペナルティが全くないにも関わらず出産確率が低いととも示された。欧米諸国では、女性は高学歴化によって高い所得水準を得るだけではなく、雇用のflexibilityも同時に獲得していることが確認されており、そうした効果が2000年以降の女性の高学歴化と出生率のパラレルな関係に現れているといえる。一方で日本においては、そのような現象は確認されていない。当該研究の結果は、日本での育児期における女性の就業継続には、日本に固有のtime constraints問題を解消する必要があることを示唆するものである。(2010年度に継続中)2)本源的能力と賃金水準:幼児期の教育が、その後のパフォーマンス(賃金水準)にどのような影響を与えるのか、本源的能力あるいは幼児段階での教育成果の指標として、IQ、KWW(knowledge of the world of work)を用いて検証した。その結果は、教育年数の効果が認められる一方で、IQやKWWで代理させた本源的認知能力は、間接効果、直接効果ともにほとんど認められないというものであった。Heckmanらは、skillの再生産性と能力形成の動学的補完性を確認していている。ここではデータの制約により限定的なものに留まったが、2010年度はパネル・データや詳細なミクロ・データを用いて再検証を図る。なお関連研究として、人的質本蓄積と結婚行動、経済格差に関する分析も行っている。
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Research Products
(6 results)