2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530224
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野崎 祐子 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 助教 (60452611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 克己 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (80243145)
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Keywords | early childhood education / cognitive skills / shadow education / work-life-balance |
Research Abstract |
本研究の2年目にあたる2010年度は以下の2点において成果を収めた。1点目は、2009年度の課題を完結させるものとして、野崎(2011)を公刊した。そこでは日本においては出産と就業継続が依然トレードオフであること、出産による賃金水準低下(出産ペナルティ)には学歴による違いがあることを明らかされた。2点目は、保育・幼児教育や家庭環境が及ぼす学力(小学六年生時点)への影響についての実証研究である。これらの要因と学力との間に強い相関を指摘する先行研究も多い。しかし、分析方法に関しては検討を要するものが散見される*。Nozaki・Matsuura(2011)では、就学前教育や通塾経験の情報を網羅した2010年全国学力テストの調査結果をもとに、操作変数法を採用して慎重に推計を試みた。その結果、これらの要因が小学校6年生時点の学力において影響をほとんど及ぼしていないこと、一方でクラスあたり教育予算が有意に平均点を引き上げることが明らかになった。この研究を2011年Eastern Economics Association Annual Conferenceで報告した。そこでは就学前教育の効果は数年で消失するという先行研究と整合的な結果であること、教育予算配分の違い(アメリカでは個人単位)によって影響が異なることなどについてのコメントが寄せられた。このほか、追加的な研究として、野崎ほか(2010・学会報告論文・未定稿)では、教育予算投入が成績下位層の引き上げに効果があることを確認している。野崎ほか(2010)は、大石厚生科研研究会にて報告(2010,9月)、妹尾(2011)により加筆修正されたものが日本経済学会春季大会、東京労働経済学ワークショップ(2011)にて報告予定である。研究2011年度に予定されているアメリカとの比較研究に向け、AERAのセミナーに参加し、ECLSデータ利用に関する情報収集も行った。*直近では、国立教育政策研究所(2010)が、幼稚園出身者、保育所出身者、どちらも通わなかった、という順で学力テストの正答率が高いと発表し、注目を集めた。
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Research Products
(6 results)