2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530224
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
野崎 祐子 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 助教 (60452611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 克己 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (80243145)
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Keywords | Educational spending / Shadow Education / Time Constraints / Educational Policy |
Research Abstract |
本研究の最終年度である今年度は、課題の持つ学際的な特質や日本のデータによる分析が果たす国際的な貢献を考慮し、総括として以下の計画を遂行した。 (1)国内外での学会発表:就学前教育、家庭環境がcognitive skillに及ぼす影響についての実証分析では、幼稚園あるいは保育園いずれの経験も小学校6年生時点での学力には差異が認められなかった。集計データであることやサンプルサイズの小ささ、アセスメントテスト結果による推計という制約はあるものの、1990年代以降、幼稚園教育要領改正、保育園での教育的指導採用など両者の性格が極めて類似していることを確認した結果となった。この結果はEEA(アメリカ東部経済学会;2011年2月)にて報告した後修正し、さらに日本経済学会(2011年5月)にて発表、討議した。英語論文は現在海外ジャーナルに投稿中である。また、女性の就業継続と時間制約に関する実証分析は、野崎・福田(2010)を修正し、IEASコンファレンスで報告した。現在、そこでの議論をもとに再推計を行っている。 (2)研究成果の海外発信・討議:教育に関する研究成果は、テンプル大学での学部生向け講義、経済学部教員・大学院生向けセミナーにて発表した。ここでの論点は、教育予算配分のefficiencyである。アメリカのデータを用いた研究では教育予算配分は各districtによって決まるため、分析において両者は内生性の関係にあるが、Nozaki/Matsuura(2011)では確認できなかった。国による最低保障やクラス単位で予算が配分されるという日本のシステムが、有効に機能しているという結果は高い関心を呼んだ。 (3)ワークショップ「女性の就労と家族、子どもの教育に関するワークショップ」(千葉大学大石亜希子教授との共同開催2011年12月):結婚・出産行動、母親の育児負担と就業とのコンフリクト、家庭教育と子どもの学力などをテーマとしたワークショップ。ここではさらなる発展を目的とし、これまでの研究成果を報告。経済学のほか、発達心理学、看護学などから論者を迎え、学際的に討議した。野崎報告分は「子どもの学力の規定要因」、「女性の修業継続と時間制約」 (4)書籍『変わりゆく結婚と家族の経済分析』(2013年春出版予定)(5)就学前教育の質的保障に関する国際共同研究計画(4),(5)については12.今後の研究の推進方策を参照。
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Research Products
(8 results)