2012 Fiscal Year Annual Research Report
広域行政圏化による労働再配分ショック増幅効果とミクロ経済的構造分析
Project/Area Number |
21530228
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤田 渉 長崎大学, 経済学部, 教授 (30264196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 勝彦 長崎大学, 経済学部, 教授 (00208935)
丸山 幸宏 長崎大学, 経済学部, 教授 (30229629)
山口 純哉 長崎大学, 経済学部, 准教授 (40325692)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 広域行政圏 / 労働再配分ショック / マッチング / 雇用 / 貿易 / 多国籍企業 |
Research Abstract |
引き続き継続的に、労働再配分ショックに関する先行研究のサーベイ、データの整備と更新、分析モデルのサーベイを続けた。さらに24年度においては以下の内容を研究した。 前年度までに、広域行政圏化により行政権を失い、過疎・衰退化が懸念されている県規模の地域レベルにおいても、現在の市町村規模の地域レベルと企業との関係と類似した状況が再現される可能性が高いことを示した。たとえば企業の撤退等によるショックは雇用喪失、税収減、インフラの有休化から関連産業の衰退・流出、さらに人口流出に至るまでに不可逆的に増幅される。従来のシンプルな地域と企業の組(対)による租税競争的なモデルに対し、地域と撤退企業、そしてさらに大ユーザー脱落による公共サービス企業体に与える影響の波及まで考える必要を示し、規制緩和による公共サービスの自由化は新たなショックの増幅効果を持つ可能性を持つことなどを分析した。24年度はさらに、増幅メカニズムとして、企業撤退とサンクコストの関連、グループ企業による広域撤退など、実態調査をもとに企業側の行動メカニズムに対しても分析の範囲を拡大した。合併、買収による企業統合の結果、サンクコストの影響は相対的に縮小し、また地域との属人的関係が切れるため企業撤退は容易化する。しかしその反作用として統合企業内で重複部門間の競合が生じるとともに、分離売却による地域残存の可能性が生じたり、広域同時撤退計画が地域間の撤退阻止競争を引き起こすことなど、モデル化の必要がある企業、地域の行動が数多くあることが分かってきた。 モデルの検討については前年度に着目したサプライチェーン切断の影響を分析するモデルと、本研究の対象である再配分ショックの増幅効果メカニズムを分析するモデルの間に共通点を見いだしたことから、これらを扱うことが可能なモデルを整理している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的、および実施計画について、ほぼ着実に達成しつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本研究課題の研究目的、および実施計画に従い、着実に進めていく。
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