2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子機器産業の構造変化と東アジア経済の相互依存メカニズム
Project/Area Number |
21530230
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
熊倉 正修 大阪市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20347503)
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Keywords | 東アジア / 電子機器 / 貿易統計 / 単価指数 / 物価指数 |
Research Abstract |
平成23年度は、平成22年度から取り組んでいる日本の輸出入関数に関して、再推計とパフォーマンスの評価を実施した。また、それに関連する課題として、電子機器の貿易構造の変化が輸出物価の計測方法に与える影響を分析し、適切な物価指数の要件を検討した。 平成22年度以前の分析により、日本の輸出と輸入の双方の動態が電子機器の国際市況から強い影響を受けていること、集計化されたマクロ的な輸出需要関数や輸入需要関数を推計する場合であっても、電子機器産業固有の要因をコントロールする必要があることが明らかになった。平成23年度前半は輸入需要関数の推計の仕上げを行い、内閣府のマクロ計量モデルの輸入需要関数などとの比較を行った上で、その成果を論文にとりまとめた。また、平成22年度中に査読誌に投稿していた輸出需要関数に関してレフェリーからいくつかの問題点を指摘されたため、輸入関数の推計の過程で得た知見も取り込みつつ、計量モデルの再構築を行った上ですべての推計をやり直し、新たな論文としてとりまとめた。 輸出入需要関数の被説明変数である実質輸出入のデータを作成する際には、適切なデフレーターが必要となる。日本の輸出入物価指数としては、日本銀行が作成している物価指数以外に、財務省が税関貿易統計をもとに集計している単価指数が存在するが、上記の研究の過程でこれらの統計的性質が著しく異なっていることが明らかになった。そこでその原因を詳細に検討したところ、これら二つの指数の理論的性質の違いだけでなく、其々に理論的な指数と必ずしも合致しない点があること、それが一部の電子機器の集計価格にきわめて大きな影響を与えていることが見出された。これらの結果にはより厳密な検討の余地が残されているが、これまでに得られた成果をワーキング・ペーパーにとりまとめた。
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Research Products
(3 results)