2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21530231
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
丹野 忠晋 Atomi University, マネジメント学部, 准教授 (40282933)
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Keywords | 入札 / 談合 / オークション / 非対称性 / 収入等価定理 / 官製談合 |
Research Abstract |
公共事業入札やその談合において現れる非対称に関する簡単な理論論文Linear Bid in Asymmetric First-Price Auctionsを執筆し学会European Association for Research in Industrial Economicsにおいて報告した.2人の入札者の非対称な入札対象に対する分布を持つ均衡解の中で線型入札戦略に焦点を当てたこのモデルは,対称性がないためオークションルール間に関する収入の同値性が成り立たない.この論文の主眼は,対称性から非対称へ移行した場合の第一位価格オークション,第二位価格オークションおよび最適オークション間の収入や効率性を比較することである.入札制度の分析の基礎となるオークション理論では収入等価定理について多くの論文があるが,その中で直感的に把握しやすい入札戦略で収入の比較静学を行う事は,その定理の深い理解に役立つであろう.この結果と他の非対称性を扱うモデルとを比較する展望論文「非対称オークションとその収入」を執筆して異なった設定における諸結果を比較考量することによりこの分野の理解を深めた.入札談合に関する論文Ratifiable Collusion and Bidding Systems in Procurementについては査読付雑誌へ投稿する準備を行った. 入札談合に関するファクト・ファインディングパートでは公取委の審決等テータベースを用いて丹野他(2008,競争政策研究センター共同研究報告書)「カルテルの実態調査と経済理論分析」のデータをさらに遡って蓄積している.また官製談合防止法の最初の適用事件である岩見沢官製談合事件を詳しく調べて一つの重要な事例研究として本研究に加えるべく資料の収集と整理を行った.また加藤雅俊助教(関西学院大学)との共著論文The determinants of bid rigging in public procurement auctionsではある自治体の入札談合事件の前後における落札率の決定要因を実証的に研究している.先に挙げた非対称オークション・モデルを入札ケースに応用した理論的考察は,本実証分析の理論的な理由付けを与えている.
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